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トワのセカイ  作者: 小桜 天那


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第三話 守りたいもの(2)

 店の奥の自宅へと続く道を進み、門をくぐり家の前まで着くと、中には入らず裏手にまわります。そこには家の外観とはまるで違う、コンクリートで壁を固めて作ったような無機質な建物があります。それが倉庫です。

 私は倉庫のドアをゆっくりと開けて恐る恐る入って行きます。中には何があるか、よくわからないからです。

 壁のスイッチを押すと明かりがつき部屋の中を一望出来ました。

 中は金属性の棚に箱にしまわれている物、そのまま道具が置いてある物など様々でした。でも度々掃除はしているのか部屋の中には埃などは無く、至って綺麗にされてました。イメージとしては博物館の倉庫みたいな感じです。

 そのままで置いてある、よくわからない機械や道具などは取りあえずパスします。迂闊に触ってしまって何かあったら大変ですし。

 私は近くにあった数十センチ四方の大きなダンボールを手に取りました。大きさの割に軽い、そう思って開けて中を見てみると……。

「う……」

 そこには外国の男の子を模した人形が入ってました。本来は子供が遊ぶために作られた物だと思いますが。

「こ……怖いです…………」

 まるで生きているかのように、こちらを見る透き通った紺碧の瞳。今にも何かを喋りだしそうな半開きの口。すぐにでも私を捕まえようとしそうな軽く開かれた手。とても生々しいです。何かの魂でも入っているのではないかと……。

 ────パタン。

 私はその箱のフタをそっと閉じ、元の場所に丁寧に戻しました。

 かかわったら呪われそうですし。いえ、そもそもそういう物かもわかりませんが。

 気を取り直して辺りを見回して他のめぼしい物を見つけます。しかし、最初に開けた箱がアレですから、箱物は中を開けるのに勇気が入りそうです。

 ただ、見て探しているだけでは結局埒が明かないので、先ほど中を見たダンボールの上の段に置いてあった一回り小さい箱に手を伸ばしました。そして、その箱を引っ張り出そうとした時、私の横を何かが落ちていきました。

「……ブローチ?」

 床には楕円形で、周囲を何かの文字か模様のようなものが描かれた銀色のフレームの中心に、黒い宝石みたいな物がはまっている五センチほどのブローチが落ちていました。

「石の色は今一つですが、さっきの人形よりはマシそう……」

 手を伸ばしてそのブローチを拾った瞬間、突然石が緑色に輝き、点滅を始めました。

「え? なんですかコレ? どうなっているんですか?」

 石を見ても、ひっくり返して裏を見ても全く何が何だかわかりません。

 ────とても嫌な予感がします。

 私はそのブローチを持って急いで倉庫から飛び出し、セカイさんがいるお店に向かって走り出しました。


 お店に続く道の途中で、石の色が黄色に変わり点滅を繰り返していました。その変化に嫌な汗が吹き出してきます。

 ──────マズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイ。

 頭の中で警告音が鳴り響きます。余りの恐怖に更に足が速まります。

 そうこうしているうち、お店が目に映るぐらいの場所に来た時……。

 ブローチの中の石は赤色に変わりました。心なしか点滅が早くなった気がします。

「………………!」

 私はブローチを手に扉を開け、店内に飛び込みました。

「セ……セカイさんっ!」

「あら? どうしたのトワ。そんなに慌てて……」

 店内をうろついていたセカイさんは私の持っているブローチを見た途端に目の色を変え、急いで私に駆け寄り、ブローチを奪うように持ち去ると険しい表情で店の外に出て行きました。

「セカイさん!?」

「きちゃダメ!!」

 セカイさんにしては珍しい、強い口調に驚き、私はその場に立ちすくんでしまいました。

「もう……時間が無い…………」

 セカイさんはそう呟くと胸に抱えるように両手でブローチを包み込み、程なくして、


 ────ドォォォォォン!!!!


 低い爆発音がしました。

 瞬間、セカイさんが結界を張ったのでしょう。音はそこまで大きく響きませんでした。ですが、セカイさんの周囲を球形に張られた結界の中は煙が充満していて、何も見えず中をうかがい知る事は出来ません。

「セカイさん!」

 私は目の前の状況に冷静さを失い、ただ呆然としている事しか出来ませんでした。絶望的な状況ばかりが頭をよぎります。

 暫くすると球形だった煙の形は崩れ、周囲に広がり霧散していくと、その中からフラフラになり所々服が破れボロボロになって汚れたセカイさんの姿がありました。

「ん~~~~何とかなったけど衝撃がぁ…………」

 それだけを言い残すとセカイさんはその場でパッタリと倒れてしまいました。

「セ、セカイさん! しっかりっ……」

 慌てて駆け寄って抱き起こしましたが、セカイさんの意識はありませんでした。

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