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『異世界アンチノミー ――翼神の箱庭――』  作者: めざしと豚汁


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48/116

48.仲間

トーチの家に着くと、すでに酒盛りは始まっていた。

馬小屋の隅に焚き台が据えられ、トーチの他に男が二人、そして奥さんと走り回る小さな子どもが三人。

石積みの壁にはオイルランプがいくつも吊り下げられ、煤と一緒に獣脂の焼ける匂いが漂っている。


「よう、来たか。こっちだ、座ってくれ」


丸太を切っただけの固い椅子に案内され、トーチが俺を紹介した。


「カゾヤマだ。こいつはロガ、あっちはジェイ。あとは、うちの家族だ」


「よろしく」


ロガが俺を指さしながら笑う。


「俺は処刑される方に賭けてたのによ」


「ロガは人を見る目がねえ。俺っちは善人だと分かってたぜ、なあ?」


色褪せたサンタクロースのようなジェイが、ジョッキを渡しながらウインクしてきた。


「しばらくだけど村の世話になるよ」


俺はエールの入ったジョッキを軽く掲げて飲み干した。

息が白い季節だろうが、仕事の後の一杯はうまい。


奥さんが鍋を運んできた。

この香りは……チーズか? 鍋の中身は――


「まさか、チーズフォンデュか!」


「なんだそれ? まあいいや、ほらよ」


串に刺さった茹でた腸詰めを手渡しながら、トーチが言う。


「悪い、ウズラは子供が気に入っちまったから今日はお預けだ」


ペットまでこなすウズラ、万能すぎるだろ。


「いいよ別に。ところで、トーチはこの村の生まれか?」


庭付き・馬小屋付きの家から予想していたが――


「うちは親父の代からここだ。でも軍に居たから、帰ってきたのは最近だ」


「俺たちは元々軍の仲間だ。俺とジェイが除隊して仕事に困ってた時に、トーチに誘われてここに居着いた」


俺の番が来て、質問攻めをどうやり過ごそうかと迷っていると、トーチが唐突に切り込んできた。


「で、カゾヤマは、リッカとどうなんだ?」


「どうって、別に?」


「んだよ、情けねえな」


ジェイが調子に乗って煽ってくる。


「次の賭けはこれに決まりだな」


ロガはまだ俺の不幸が見たいのか、「振られる方に賭けるから今度こそ頼む」と勝手なことを言い出した。

学校もそうだが、退屈な隔離空間の娯楽は少なく、この手の話題は数少ない娯楽なのだ。


迷惑しながらも、この時間をどこか楽しみつつ、やがてお開きとなった。


「また明日な」


「ジェイ、明日から囲いだぞ!」


「分かってら」


俺はトーチに「囲いってなんだ?」と聞くと、


「ああ、冬場は狩りができねえから、生け捕りして飼うのさ。囲いはその準備だ」


と教えてくれた。


ロガは「貴族からたんまりせしめて冬場をやり過ごす祭りだ」と張り切りながら帰っていき、

俺は薄っすらと白くなった夜道を、宿へ向けて歩いた。


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