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『異世界アンチノミー ――翼神の箱庭――』  作者: めざしと豚汁


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45/116

45.理路整然

翌朝、約束通りリッカを叩き起こして村役などの組織構造や、基本的な生活ルールなどをレクチャーしてもらい今はティータイムだ。


「なあ、今さらだがリッカはよく俺を受け入れたな」

「うーん、伝承の不死が想像と違ったからかな。真っ二つにしても起き上がってくるような怪物だったならこうしてない」


「試さないでくれて良かったよ」


「それにこんな名前もない村をどうにかしたところでなんの意味もないじゃない。私が伝承の存在だったとして、ここで騒ぎを起こす道理がないもの」


リッカの結論は極端なまでに理路整然としているが、イセカイジンを閉じ込める思想の檻が出来上がるようなこの世界では異端だ。

インターネットはおろか義務教育すらない社会では家訓や親の背中が成長の道しるべになるのは自然として、リッカがナラティブに染まらないのは何故だろうと疑問に思ったが、アズィならリッカを生き写しのように育てるのは造作もないかと思い至り納得した。


無意識にジロジロ眺めていたのかリッカに

「何、私が気になる?うちのパパはあれだよ」

とからかわれて気恥ずかしい思いをさせられてから、狩りの座学が始まり授業を終えた。そこから一緒に買い物に行き、長手のグローブと短剣、麻縄を買って社会人デビューの支度を整えリッカと宿の前に戻った。


広場では、今日も水やりの少女が花壇にしゃがみこみ手入れをしている。遠目には分からなかったが元の世界ならスクールカースト上位に食い込む容姿と保護欲求を掻き立てる小動物の雰囲気を持つ女子高生と言った印象だがこの世界は残酷だ。

リッカはボーっとしていた俺を、いやらしい目で見てんじゃないわよと嗜め明日の予定を告げて帰っていった。


「明日の朝はゴイを広場に待たせておくから、声をかけてあげて、それと今日は用があるから夜のデートはなしよ」

「よせよ、変な噂が立ちそうだから丁度いいぜ」


リッカを見送りながら村に来た時に狩人たちに冷やかされたことを思い出して多分手遅れだと一人肩をすくめ、宿に戻った。





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