4.異世界ミステリーもの
上段のロフトは、床に物が散らかっており、人の痕跡にゾッとさせられた。
「誰か、居るのか……?」
数冊の本から一冊を手に取るが、見たこともない文字で書かれており、全く読めなかった。
ただ、どの本の表紙にも“掌のアイコン”が描かれているから、シリーズもののようだ。
他には、空瓶と整髪料のようなノズルが付いた金属製ボトル、そして短剣。
「どれも役に立ちそうにないな。短剣なんか使って、あんなマッチョな野蛮人と戦えるかっての」
それでも、ないよりは安心感があるかと考え直し、この先路銀が必要になるかもしれないから、一応持っておくことにした。
「あー、なんだよ畜生。どうせなら異世界チートハーレムが良かったぜ」
寝転がって悪態をつくが、応える者はいない。
居ても困るが、あっという間に袋小路に入って次の目標が思いつかない。
俺は読めもしない本を再度手にしてヒントを探してみたが見当たらず、静かに閉じた。
「うおっ!」
突然、本から振動を感じて俺は飛び起きた。
そして閃いた。自分で“アイコン”って言ってたじゃないか。
俺は表紙にそっと手を置いた。
再び振動を感じた直後、脳に液体が流れ込む感覚が始まり、しばらくすると収まった。
「なんか脳にインストールされた。でもなんだか分からねえ……」
こうなりゃヤケだ。全部盛りでいったれ。
今は効果より“変化”に飢えている俺に躊躇などなく、全てのインストールを開始した。
そして――
表紙に『チューナー』と書かれているのが読めた瞬間、俺の異世界の扉が開かれた。
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