38.放免
6日目の朝になり、審問官が牢にやってきた。
広場の断頭台で群衆に囲まれて行われると勝手にイメージしていたが、俺は牢の中から3人の年寄りに淡々と質問を受けただけだった。
やがて審問官らしき男を連れてきて放免を宣告され、
俺は現在リッカの家で茶を啜っている。
家と言っても村の役場を兼ねた建物で、1階は今いる応接室と隣の事務局になっており、2階がリッカの住まいらしい。
現在の俺は鞄を返してもらうためここを訪れ、リッカの戻りを待っているのだ。
ほどなくリッカが俺の鞄を片手に部屋へ入ってきた。
今日はアーマー少女ではなく、ふわっとした藍色の生地に花の刺繍の縁取りが付いた長衣を着ている。
庶民が染め物の服を着ることのない中世社会では、彼女が普通の村人ではないことを示している。
「お疲れ様。足止めして悪かったね。私が保管してたけど、中身を確かめて」
衣類に水筒、火口ポーチ、岩塩の小袋と財布……何も盗られてはいない。
「大丈夫だ」
「良かった。ゴイがあなたにお礼を言いたいって言ってるけど、この後会ってくれる?」
「構わないよ」
「それから今日なんだけど、前に話した領主の三男のアズィって言うんだけど、あなたと話したいって言ってたから付き合ってね」
やんわりと拒否権を封じる物言いだが、これが封建社会というものなのだろう。
俺はリッカをじっと見つめ表情を探ったが、可愛らしい笑顔は崩れなかった。
「わかった。任せるよ」
「じゃあ、早速ゴイのところへ行こう」
リッカは俺に手を差し伸べ、俺はその手を取った。
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