表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界アンチノミー ――翼神の箱庭――』  作者: めざしと豚汁


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/116

30.またしても

いきなり後ろからガツンと衝撃を受け、俺は前のめりに倒れ込んだ。


「鞄を奪え」


タルガンが命じると、息子――いや、もはや息子かどうかも怪しい男が、


「分かってるよ、指図すんな」


と平然と返した。


タルガンは俺の背にのしかかり、

冷えた金属の感触が首筋に押し当てられる。


「命は取らねえが、いただくものはいただくぜ」


その声は、昼間の気さくさとは別人のようだった。


「タルガン! そいつ王都の警吏だ!」


「何?」


……何?

ああ、短剣のことか。


「おいおい、お互い不味いことになったな」


タルガンは俺を押さえつけたまま呻く。


「どうすんだよ」


息子らしき男が、不安を隠しきれず声を上げた。


「ひとまず縛り上げるぞ」


息子役は鞄から麻縄を取り出し、俺の腕を後ろ手に縛り上げた。


「立て。もう少しお散歩だ」


「……」


---


窪地を見下ろす草地に連れてこられた俺に、タルガンは冷たく宣言した。


「さて、悪いが予定変更だ」


「追っ手がかかるぞ」


「本物のタルガンさんなら、もう土の中さ」


「なんてやつだ」


この世界では、裁判所や牢獄はあっても、

犯罪捜査や逮捕は“自己責任”という中世の掟が生きている。


衛兵が街の治安を守るのは、

徴税のための“福利厚生”に過ぎない。


警吏であってもホームを離れれば威光は通用しない――

が、タルガンにとって、王都の警吏という肩書きが念のための“口封じ”の理由になったのだろう。


モズが説いた「土地に縛られて生きる」という価値観が、

こうした過酷な背景から生まれたものだと改めて思い知らされた。


「なんで俺を狙った?」


「この辺りで舟が初めてなんてあり得ねえからな。

他所から来た一人旅のお人好しなんざ、涎が出るに決まってらあ」


「……」


「おい、早く片付けようぜ」


息子が苛立ちを隠さず言う。


「そうだな。あばよ」


偽タルガンは息子に照明係をさせ、ナイフを振り上げ襲いかかってきた。


分厚いポンチョが斬撃を防いだが、転ばされ、太腿を刺された。

焼けるような痛みに、思わず声が漏れる。


「さあ、もう逃げられねえぞ」


肩で息をしながら、俺は死刑宣告をする偽タルガンを睨みつけた。


そして――


轟音と共に、偽タルガンは消し飛んだ。


---

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ