23.思ってたのと違う
景色にも飽きて作業感が強まり、陽が傾いてきた頃、教えられた街道脇のシェルターを見つけた。
シェルターと言ってもただの岩だが、風除けと焚き火の反射熱に命を救われているのをひしひしと感じる。
街道は小川に沿っているため水には困らなかったが、茂みの枝はどれも濡れていて火が着かず、薪集めに随分時間を取られた。
単純に距離だけでなく、こうした“手間”が旅を阻むもどかしさを憶えるのは現代人ならではだろう。
とにかく俺は、一夜を生き延びた。
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二日目。
鉱山から来た軍の馬車が、重装の兵士数名を先導にして俺を追い抜いていった。
俺には目もくれない。
脚が痛み始めたので万能ムースを使ってみたが、擦れた産毛が復活した以外はなんの効果もなく、
効能通り“傷薬としてしか役に立たない”ことがよく分かった。
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三日目。
危うく火口を絶やしそうになり、焦って河原で作り直していると、モズらしき馬車が通り過ぎていった。
ついでに食事を摂ることにして、魚の燻製を火で炙りながら湯を沸かす。
モズを確認できたことで少し自信を取り戻したが、足の痛みはどうにもならなかった。
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四日目。
初めて他の旅人に会った。
屈強な二人組で、野盗と間違えられても仕方なさそうな見た目だったが、話してみると気さくなただの鉱夫だった。
「旅籠ならあと少しだぜ。あの林を過ぎたら見えてくる」
「兄さん、賭場だけはやめとけよ? あれゃイカサマだ」
「心得るよ」
他愛もない会話で別れ、あと少しを目指したが、足がついていかない。
何度もへたり込みながら歩き続け、辿り着いた頃には夜になっていた。
「異世界ものは、こういう苦労も描けよ。勘違いするわ…」
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