表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界アンチノミー ――翼神の箱庭――』  作者: めざしと豚汁


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/116

19.旅の再開

ヤマノは約束通り、街の近くで俺を解放して去った。

俺は美しい紅葉の中、街道を歩き始めた。


身分証の発行をヤマノに要求したものの、すぐには無理だと断られた。

アテが外れたが、どうにもならなさそうなので街には入らず、食料だけ売ってもらう交渉をする予定に変更した。


街の入口が見えてきたあたりで騎馬が向かってきた。

思わず隠れようとしたが、お互い見えているので諦めてそのまま接触すると、ヤマノに同行していた兵士だった。


「ほらよ」

「なんだ?」

「滞在許可証だ。門番に見せろ」


そう告げると、兵士はサッと方向転換して去っていった。


許可証には『通過』『滞在3日以内』と書かれ、保証人にヤマノのサインがあった。


思わぬヤマノの気まぐれに一応感謝はしたものの、

“トランジットでゆっくりさせない”という仕返しが、俺たちの関係性をよく表している。

だからと言って文句を言える立場でもない俺は、言われた通りにして無事街に入った。


---


その街は エリンヒャ という名だった。

地図で確認すると王都とは反対方向の辺境に位置し、銀の採掘が主要産業らしい。


宿場と違って滞在許可証が必要だったのは、そういう事情かと納得した。

冒険者ギルドがないか探したが、あるはずもなく、殺風景な通りにげんなりして、さっさと出る決意をした。


乗り合い馬車の事務所を訪ねてみたが、十日に一本しか出ておらず、次は六日後。

歩くしかないようだ。


当てもない旅になったとはいえ、雪が降れば恐らく春まで身動きが取れなくなる。

なるべく快適な滞在先を早く見つけねばならない。


---


街の中央広場に出たところで宿屋の看板を見つけ、個室を二日借りた。

経営者の爺さんが温かい茶を淹れてくれ、世間話をしたそうにしていたので、

地図を広げて「この街はどんなところだ」「こっちは雪深いか」など質問攻めにした。


そのまま夕飯を頼み、今は部屋でやたら硬いパンをミルクスープに浸しながら、再び地図を眺めている。


爺さんの話だと、この季節から王都に行くなら宿場に戻る必要があるらしい。

王都の次におすすめの街は、湖畔の交易都市 ベルマ だと教えられた。


ベルマは国の南北の中間に位置し、湖の対岸の隣国とも貿易が盛んで、

王都に次ぐ賑わいを見せる公爵領の首都だそうだ。


ただ、近いと言っても馬車で二十日近くの行程で、歩いて行くのは無謀らしい。


いっそ馬でも買ってみようかとも考えたが、乗馬の経験もなければ手入れも分からない。

世話が嫌で動物を飼いたいと思ったことがない俺が、いきなり大型動物はハードルが高すぎる。

早々に断念した。


---


また明日にでも爺さんに相談してみよう。


久しぶりの布団に幸福を感じながら、俺は熟睡した。


---

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ