17.提案
「さて、俺の生き方を批判したいようだったが、何を言われようが聞く気はねえから、喋るだけ無駄だ。それよか、もっと建設的な話をしたいんだがな」
「こうやって追い詰めたんだから、話し合いなんか不要じゃないのか?」
「お前が心変わりして暴れたら防ぐ手立てがねえ。俺も何されたか知らねえけど、自分の殺害現場見て震えたぜ。俺は再生するが、こっちの連中はそうはいかねえ。毎回部下を殺されたら俺の立場が保たねえんだよ」
「なら、放っておけよ」
「そうはいかんのが、社畜の悲しい定めだ」
「仲間にはならないぞ」
「おいおい、邪険にするなよ。たとえお前がコソコソ生きようと、こっちは手配書の密度を上げていく。この手の小さな集落だろうが全部だ。そしたらどうなる?」
ヤマノは、手配書を使えば異世界人を“餓死させる檻”が作れると言っている。
どんな異能があろうが、野山で自給自足しながら誰とも会わずに生きていくのは不可能に近い。
「……」
「どうせ行くアテなんかねえんだろ? 宿場はともかく、身分証なしの放浪者なんざ街には入れねえ。村なんか怪しいってだけで処刑しても咎められねえ世界だ。大人しく俺と組めば、同胞として悪いようにはしねえぜ?」
ヤマノの言う通りなのだろう。
これまでは偶然なった“ニセ警吏”設定でやり過ごせたが、いずれ手配がかかって詰むだけだ。
それでも――
ヤマノに飼い殺しにされる未来だけは、絶対に嫌だった。
「なあ、ヤマノさん。やっぱり解放してくれないかな?」
「俺の話聞いてたか?」
「もちろん。だが、話してるうちにお前が馬鹿な詐欺師だと気付いたよ」
「何?」
ヤマノの眉がピクリと動いた。
“怒り”ではなく、“理解できない”という反応。
この男は自分の論理が絶対だと思っている。
しかし、そこには穴がある。




