14.最低な異世界デビュー
雪を冠する美しい山々をぼーっと眺めながら草原に座り込んでいた。
だが、背後は地獄絵図――そのギャップのせいで過呼吸を起こし、ようやく収まったところだ。
俺は子供の頃に見た映画のヒーローが言った
「心を石にするんだ」
という台詞が気に入って、窮地での冷静さや忍耐を美徳として生きてきた。
だがそんな哲学は、“安全な国でのカッコつけ”が前提だったらしい。
いざ襲われると、あっさりと理性を放棄してしまった。
俺は正当防衛を巡って心の中で裁判を開いてみたものの、
彼らに怒りをぶつけた結果を改めて確認し、最終的に“有罪”の判決を下した。
チートに浮かれて冒険者気取りで始まった旅は、
兵士の殺戮という血なまぐさい幕開けによって、
目的が“逃避行”に変わってしまった。
主人公の俺は、途方に暮れていた。モンスターもいない世界で、この異常な火力設定はどういう意図があるのか。圧倒的侵略者としてこの世界を蹂躙させたいのだろうか。
「なんかそんな映画あったな。最後は主人公に追い詰められて自爆だったっけ…」
それからまたしばらく山を眺め続けたが、打開策などあるはずもなく、
やがて考えるのをやめた。
「とりあえず、見届けるか」
俺は唯一できそうな結論を口にして、上着を拾うため立ち上がり、来た道を戻った。
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