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『異世界アンチノミー ――翼神の箱庭――』  作者: めざしと豚汁


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103/116

103.ホスピタリティ

光の道は創作物のワープやゲートのようなもので、リッカは目を白黒させていたが、俺はもう理解を諦めていた。


「どこまでも、そういうもの」


「カゾヤマ、あなたは知ってるの?」


リッカが真剣に聞いてきたが、俺は首を振った。


着いた先はいかにもという大聖堂で、夕焼けに照らされる正面のアプローチにはそれなりの往来があったが、俺たちの出現を気にする者は皆無だった。

これも“そういうもの”なのだろう。


先導する双子に、リッカが言った。


「さすがに着替えたいんだけど」


さっきまでの怯えは雪原に置いてきたらしい。


エリが丁寧に頭を下げた。


「大変失礼いたしました。中ですぐにご用意いたします」


この辺りのホスピタリティは満点なのだが。


---


中に入り、俺たちは部屋に通された。

リッカには双子と同じ長衣が、俺にはきれいになった初期装備――元の世界の服が用意されていた。


「何その服? 元の世界ってやつ?」


「ああ。なんで今さらかは分からん」


「すごいわねこの生地。初めて見たわ」


リッカは長衣をひらひらさせて驚いている。


ノックの音とともにエリが入ってきた。


「大司教様は明日お会いになるそうです。お部屋をご用意しておりますので、そちらでお寛ぎください」


エリに案内され、聖堂を抜けて中庭の脇にある建物へ。

通された部屋にはベッドと浴室――え、シャワー?

元の世界と同じレベルのアメニティが揃っていた。


「こちらは再生者様のための施設ですので、少しだけ贅を凝らしております。監視等は一切ございませんし、不道徳という概念もございませんので、明日までどうぞごゆっくりお寛ぎください」


意味ありげなことを機械的に言い残し、エリは下がった。


テーブルにはワイン、鹿肉のシチュー、バゲットが並び、ワイングラスまで用意されている。

リッカはまたしても驚愕していたが、先に風呂に入ろうと誘い、一緒にシャワーを浴び――さらに驚かせた。


「私も翼神教に改宗した方がいいかしら?」


「そういうもんでもなさそうだが」


食事を摂り、エリのホスピタリティに感謝しながらベッドに入り、今は二人でミードを飲んでいる。


「色々ありすぎたよね」


「ああ」


「まさか私がイセカイジンだったなんて、本当におかしな話よね」


「そのおかげでアズィの呪いから抜けられたんだから、イセカイジンも悪くないだろ?」


「そうね。でも私たちはたくさんの代償を払った」


「そうだ」


「それでも最後に、一番大きな追加料金を請求されてる」


「アズィの挑発に乗ったのは俺のミスだった。リッカの言うことを聞くべきだった」


「私はあなたの命綱だった。だけど、あなたがほどいた」


「双子みたいな理詰めは勘弁してくれよ」


「ダメよ。もう言えなくなるんだから。懲りたなら、あなたは翼神でも獣神でもなく、私を生涯崇めて生きなさい」


「はいはい、リッカ神様」


「返事はいいから、行動で見せてほしいわ」


「喜んで全身全霊を捧げます」


ミードのグラスを置き、

俺たちはゆっくりとゼロ距離の至高を目指した。


---

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