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王子になった俺と姫になったあいつ  作者: リュウ
第7章 新たな転生者と大団円への道

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7-15 sideルイス(ハヤト)

ゴードンがクラリアと婚約することになり、レイズはとうにアンリエッタと共に生きていくことを決めていた。

そろそろ俺もハリエットにきちんと明かすべきだろう。

俺は前世でハヤトという人間だったことを。

前世でユウヤを愛していたことを。

ハリエットの前世はユウヤだと確信しているが、ハリエットがもしも己の前世を明かしたくないとしても、俺はちゃんと自分の前世を明かしておきたい。

このまま何も告げずにハリエットと結ばれることはできない。

いつどこでどう切り出すべきなのか。

ハリエットは俺の婚約者だということで、寮の俺の部屋への出入りは許されているのだが、侍女が常についてくるので、寮で話すのは難しいだろう。

そうなると、ゴードンと同じく学園の中庭ぐらいしかなくなってくる。

明日もいい天気らしいので、俺はレイズとゴードンに頼んで、昼食後のお茶は二人きりにしてもらうことにした。

「うん、頑張って、ルイス」

「うむ。頑張れよ」

二人はそう励ましてくれた。


翌日の昼食後、俺はハリエットを食後のお茶にと中庭に誘い、レイズとゴードンはアンリエッタとクラリアと共に少し遅れて中庭に出ることにしてくれた。

「今日もいいお天気ですわね」

中庭をゆっくり二人で歩いて行くと、ハリエットが俺に向かって微笑んでそう言った。

「うん。初夏らしいいい天気だな」

と返しつつ、俺はハリエットを中庭奥のベンチへと誘導した。

木の下のベンチに座り、俺は柄にもなく緊張した。

どう切り出すべきかと悩んでいると、

「殿下、何か私に仰りたいことがおありですの?」

とハリエットが言った。

俺は意を決してハリエットに言った。

「ハリエット。俺は…俺は…俺には前世があるんだ」

我ながら情けない弱々しい声だった。

少し手が震えていることにも、自分で気づいた。

するとハリエットは

「はい、存じ上げておりますわ」

と、そう言った。


あまりにも普通に言うので、俺はあっけにとられた。

そしてハリエットはさらに

「私にも前世がありますわ」

と続けた。

「俺…俺は…ハヤトだった…」

と俺が震えながら言うと、

「私はユウヤでしたわ」

ハリエットはこともなげにそう答えた。

「殿下もきっと、ご存じですわね?」

というハリエットの言葉に

「ああ…知ってた…」

俺は弱々しく応じる他なかった。


「俺は…ハリエットがユウヤなら、この世界に生まれてきてから、どんなに辛かっただろうって…思ってた…」

俺の言葉にハリエットは

「そうですわね…生まれた頃から前世の記憶があったので、かなり混乱しましたわ…」

と、過去を思い起こしているような遠い目をして言った。

「前世は男性でしたのに、女性として生まれ育ったのは…少し辛かったですわ」

「ああ…やっぱり…そうだったのか…」

ハリエットの混乱と辛さを思って、俺は苦しくなった。

「ですが、父や母や兄たちから目一杯愛されて育つうちに、混乱も辛さも薄らいでいきました」

ハリエットはふっ…と笑った。

そして

「もっとも混乱したのは、殿下との婚約が決まった時ですわ」

と言った。

「…そうだろうな…」

俺はそう言うしかなかった。


「前世で男性だった私は、今世で男性を愛することはないと思っていましたので…いつかは男性と結婚しなければならないというのは、考えたくもないことでした」

ハリエットの言葉に、俺は何も言えなかった。

「なのに…なのに私は殿下に恋をしたのです」

ハリエットは、俺の顔を覗き込んで微笑んだ。

「その理由に気づいたのは最近なのですが…」

「理由って…?」

俺の問いに

「前世の私も前世の殿下…ハヤトを愛していたからですわ」

ハリエットは、目元をくしゃっとさせて笑って、そう言った。

 

やっとここまで来ました。もうすぐ第7章終わりです。大団円です~

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