7-12 sideゴードン(ニシダ先生)
俺たちのクラスのふたつ向こうが二年1クラスなので、クラリアと俺はあっという間にクラリアの教室に着いた。
二年1クラスにはまだ登校してきた生徒はいないようだ。
「さあ、着いたぞ。今日もお互い授業頑張ろうな!」
俺が言うと
「は、はい…あり…ありがとうございます…」
クラリアは頭をぺこりと下げてから、小走りで教室に入って行った。
自分のクラスに戻りながら、俺は考えた。
彼女は今日もひとり、クラスの皆となじめずにいるのだろうか。
このままでは本当に、彼女は不登校になってしまうかもしれない。
俺が何とかしたい…何とかしよう!と俺は決意を固めた。
午前の授業が終わると、俺はクラリアの教室へと走った。
そして教室を覗いてクラリアの姿を発見し、
「クラリア!一緒に昼飯を食おう!」
と彼女に向かって言った。
教室にいた皆は驚いた顔をして、
「なぜゴードン様が…?」
「クラリア様とご一緒にお食事…?」
とざわめいていたが、俺は気にせずクラリアを連れ出した。
「ゴ…ゴードン様…私などと一緒にいては…」
クラリアが焦った様子で言うが、
「今日のランチメニューは何だろうな!」
俺は無視して笑った。
食堂に入り、俺はクラリアと共にランチプレートを受け取って、空いている席を探した。
するとレイズが
「おーい、ゴードン!こっち空いてるよー!」
と少し離れたテーブルから声をかけてきた。
ルイスとハリエット、アンリエッタもいる。
それを見たクラリアが
「で、では私はこの辺で…」
と俺から離れようとしたが、すかさずレイズがまた言った。
「クラリアと一緒においでよー!」
クラリアは驚いていたが、それでも俺が
「レイズたちが呼んでくれてるんだ。あそこに座ろう」
と言うと、
「は、はい…」
とうなずいてついてきた。
テーブルに着いて皆が食事を始めると、クラリアが
「あっ…あのっ…今まで本当に…もっ申し訳ございませんでした…っ」
とルイスたちの方を向いて頭を下げた。
驚くルイスたちに構わず、クラリアはアンリエッタに向かって
「わ、私…私…本当にひどいことを…っごめんなさいっ…!」
と泣きそうになりながら謝った。
アンリエッタは笑って
「そんな…私は全く気にしておりませんわ。もうお謝りにならないでくださいませ」
とクラリアに言った。
そしてレイズも
「そうだよー、色々あったけど折角学年超えて知り合ったんだしさ、仲良くしようよ」
とにこやかに言ったのだが、
「お前は上級生と仲良くなったら、二年の勉強を教えてもらえると思ってるんだろ」
というルイスのつっこみに
「あ、バレたー?」
と笑っておどけてレイズがそう言って、皆が笑った。
俺の生徒たちはやっぱりみんないい子たちだ。
俺たちがなごやかに食事をしていると、周囲のつぶやきも変わってきた。
「ルイス殿下たちは、クラリア様をお許しになられましたのね…」
「私、クラリア様が笑っていらっしゃるのは初めて見ましたわ」
きっとルイスたちは、こうなることを見越して、クラリアと和解したということを周囲に知らしめるため、クラリアと俺を自分たちのテーブルに招いたのだろう。
本当に、良く気の回るいい子たちだ。
俺が感心していると、ルイスが
「昼食も済んだし、中庭でお茶にするか?」
と言い、皆も賛成したので俺たちはカップに紅茶を入れて中庭に向かった。
クラリアはしぶっていたが、俺がクラリアの分の紅茶を準備して手渡し、
「さあ、クラリアも行こう」
と言うと、戸惑った顔をした後、少しほほえんでうなずいた。
中庭へと向かう途中、ふと思いついたようにハリエットが
「そういえば…お裁縫の時間にクラリア様の刺繍を後ろから拝見しましたが、お上手でしたわね。アンリエッタ様に嫌味を言えるほどにはお上手ですのね」
と言ったので俺は慌てた。
が、すぐにルイスが
「ハリエット、からかいすぎだ」
と笑い、ハリエットは舌を出して
「冗談ですわよ」
とクラリアに向かって笑った。
するとクラリアは驚いた顔をした後、少し笑った。
皆が気遣ってくれていることに、クラリアも気づいたのだろう。
きっと、俺とも仲良くなれるはずだ。
かわいいネコ足のもこもこソックスを買ったのですが、丈が短くて、思ったより寒くてめっちゃ後悔しました。五足セットなのに…どうしよう…




