7-9 sideゴードン(ニシダ先生)
最近レイズとアンリエッタの周囲がゴタゴタしているなと思っていたら、どうやら二年の女子ともめていたらしい。
いつも通りルードと昼食を取り、天気も良いのでひとりぶらぶらと紅茶を持って中庭に行くと、レイズたちともめていた女子らしい子が、ルイスたち四人が座っているベンチの向かいのベンチにひとりで紅茶を持って座っていた。
なので俺はルイスたちに
「おっ、みんなそろって食後のお茶か?」
と声をかけた。
するとひとりでベンチに座っていた女子が
「えっ…ゴー…ドン…」
と小声で俺の名を呼んだ。
なので俺は
「そっちのベンチは満員だな。こっち座っていいか?」
とその子に尋ねた。
彼女がこくこくとうなずいたので、俺は隣に座ることにした。
詳しくは聞いていないが、クラスの女子たちから事情は少し聞いていた。
なんでも彼女…クラリア・レイナードという子は、家同士が決めたというレイズの婚約内定者で、レイズと仲の良いアンリエッタに何やら意地悪をしていたらしい。
ちょっと気になったので、俺は事情通らしい女子に、クラリアとはどんな子なのかを聞いてみた。
クラリアは二年1クラスだが、クラス内で孤立しているとのことだった。
そんな子がアンリエッタに意地悪したりしたのには、きっと何か事情があるはずだ。
そう思ったので、俺は
「いつもひとりでここで紅茶を飲んでるのか?」
とクラリアに尋ねてみた。
クラリアは
「い、いえ…いつもは…その…食堂で…ひとりで…」
と小さな小さな声でうつむいて答えた。
この子は学園の中で完全に孤立しているのか…と思うと、俺は胸が痛くなった。
「クラスに仲の良い子はいないのか?」
と聞くと、
「いえ…わっ私…暗いので…」
と苦しそうにクラリアは言った。
こういう子は、下手をすると不登校になってしまうかもしれない。
だが、学年もクラスも違う俺にできることは少ないだろう。
「俺は一年1クラスで、学年もクラスも違うが、何かあれば俺に言ってくれ。もしかしたら力になれるかもしれない」
俺がそう言うと、
「あ…ありがとうございます…」
とクラリアはうつむいた頭をさらに下げた。
痛々しい…
昼休みがもうすぐ終わるという頃、ルイスたちが立ち上がって教室に戻ろうとしていたので、
「俺たちも教室に戻ろうか」
とクラリアに言うと、クラリアは
「は、はい…」
うつむいたままだが、俺と一緒に立ちあがった。
そして俺とルイスたちにぺこりと頭を下げて走って行った。
ルイスたちに
「あの子、いつもひとりでいるらしい。何とかしてやりたいが、学年もクラスも違うらしいしな…」
と俺が言うと、レイズが俺に近寄ってきて背伸びして、俺に耳打ちをした。
「クラリアも転生者だよ」
その言葉に、俺は驚いて固まってしまった。
その夜、レイズと俺はルイスの部屋に集まった。
レイズは
「お昼に言ったことだけど、あれマジだよ」
とあっさりと言った。
「レイズとアンリエッタとあの子の間で色々あったことは俺も少し聞いてるが…」
と俺が言うと
「えっ?知ってたの?」
レイズは驚いていた。
「お前らの噂は結構広まりやすいから気をつけろよ」
と俺が言うと、
「ああ…」
「わかった」
ルイスもレイズもうなずいた。
そしてレイズは
「でねっ、クラリアの前世がどこの誰かまではわかんないんだけどさ、あの子の前世って、こじらせまくった喪女だろうってのはわかるんだ」
とそう言った。
「モジョ…?」
俺が尋ねるとレイズは言った。
「多分だけどそれなりの年頃で、でも男に免疫のないオタク女子だったと思うんだ」
前世では聞いたことのない言葉に、俺の頭は疑問符だらけになった。
今日はマジで寒いので手がかじかんで入力しづらいです…寒い寒い…でもまだエアコン使いたくない…←




