6-8 sideハリエット(ユウヤ)
四日間の生理休暇をいただいて、私は復学しました。
殿下はとてもご心配下さっていたようですが、私が元気なのを見て安心なさったようです。
ご親切に、私が休んでいた間のノートまで取って下さっていました。
申し訳なくもありがたく、私はノートを頂戴しました。
午前の授業を終え、食堂で殿下と共にお昼ご飯を頂いた後、私たちは中庭へと移動し、食後の紅茶を飲むことにしました。
すると殿下が
「やっぱり学園祭でお菓子を食べすぎたんだろう?」
と仰いました。
殿下は私がお菓子の食べすぎでお腹を壊して休んでいたとお思いだったのでしょうか…
女性として大切な事情でお休みをいただいていたのに。
そう思った私は
「お腹を壊したわけではございませんわ!」
と否定し、
「私、乙女になりましたの!」
と申し上げました。
私が休み始めて四日目にまた寮にいらして下さったアンリエッタ様が
「乙女になることは恥ずかしい事ではございませんわ。大人の女性になったということですもの」
と仰ったので、私は堂々と言いました。
すると殿下は
「そ、そうか…それは、おめでとう…?」
と仰いました。
前世での保健体育の授業で女性の生理については少し学んでおりましたが、前世の我が身に生理など起こるわけもなく、私は生理についてどこか軽く考えていたふしがありました。
ですが自身の身に生理という現象が起こり、生理というものは…女性が大人になるということは、なんと大変なことなのだろうと思い知ったのです。
そのため殿下にも堂々と、乙女になったということをお伝えしました。
すると殿下は、乙女になったことは母上にもお知らせするべきだと仰いました。
確かに、おめでたいことなのですから、母上にお知らせすべきでしょう。
母上にお手紙を差し上げると言った私に、
「なぁ、俺からも何かお祝いしたいんだが、何か欲しいものはあるか?」
殿下はそうお尋ねになりました。
私が乙女になったことを殿下がお祝いして下さる…?
「お祝い…でございますか?」
そうお答えしたものの、特に欲しいものなどは浮かびませんでした。
それに殿下は、ためてきたお小遣いを、学園祭で私が出品した刺繍作品を買って下さるために使ってしまわれたのです。
お金のかかるものをおねだりするのは気が引けました。
なので私はふと、殿下をからかってみたくなり
「…殿下、私に口づけをしてくださいませんか?」
と、そう申し上げてみました。
殿下は、まるで時が止まったかのように動きと表情を止められました。
殿下をからかうことに成功した私は、内心笑ってしまいました。
殿下はしばらくお考えになっていらしたので
「お嫌…でしょうか…?」
と、ちょっとしょんぼりしたような顔を作って言ってみました。
すると殿下は
「いやっ…そのっ…口づけなんてしたことがないから…そのっ…」
動揺を隠しきれないご様子で仰いました。
私はおかしくておかしくてたまらなくなって
「冗談ですわよ」
と笑いながら申し上げました。
笑う私をご覧になりながら、殿下は真っ赤になっていらっしゃいました。
殿下は…前世のハヤトだったころも、きっと口づけをしたことがないのでしょう。
ルイス殿下に転生してもハヤトはとても正直なので、隠し事などは出来ないと感じます。
そんなハヤトが、前世の私も大好きでした。
そこでふと考えたのです。
前世の私がハヤトを大好きだと思っていた気持ちは、本当にただの友情だったのかと。
ハヤトが女性から愛の告白をされるたびに、なぜお付き合いをしないのかをハヤトに尋ねていたのはなぜなのかを。
ハリエットとして…女性として転生し、ハヤトであろう殿下に恋をしたのはなぜなのかを。
…答えは単純でした。
前世の私も、ハヤトを愛していたのです。
私にからかわれて恨めし気な顔で私を見る殿下を見て笑いながら、私は思いました。
前世で結ばれなかった私たちが今世で婚約することになったのは、運命なのではないかと。
ならば、今世こそ二人で幸せになりましょう。
私は、そう心に誓いました。
昨夜もモンハンフレンドと遊びました。ニャンター楽しい…!!←




