6-6 sideルイス(ハヤト)
ハリエットは今日も欠席していた。
ハリエットの欠席の理由はレイズから聞いていたので、俺は余計な心配をする必要がなくなった。
それでも、前世男だったハリエットには、生理という女性特有の現象を受け入れることは難しいかもしれない。
やっぱりアンリエッタにハリエットの前世を伝えて、一般的な女子に対する以上に気にかけてもらう方がいいだろう。
なので俺は、食堂で昼食を取った後、レイズとアンリエッタが二人で過ごす中庭に向かった。
俺が二人のもとに向かうと、アンリエッタが俺に気づいて礼をした。
中庭には他にも人がいたので、これは仕方ないだろう。
「殿下、私に何かご用でしょうか?」
とアンリエッタが言うので
「ハリエットの欠席の理由はレイズから聞いた。ハリエットに良くしてくれたこと、礼を言う」
と俺はアンリエッタに感謝の言葉を伝えた。
「まぁ、そんな…ハリエット様の友人として当然のことですわ」
アンリエッタは笑った。
「…実は、さらにハリエットに対して気遣ってほしい理由がある」
俺は声をひそめてそう言った。
「それは…隣国の王女殿下だからでしょうか?殿下の婚約者であられるからでしょうか?」
とアンリエッタも小声で応じた。
俺はレイズと顔を見合わせ、互いにうなずいてから言った。
「…ハリエットは、ユウヤだからだ」
アンリエッタは叫びそうになった自分の口を両手でふさいで、声にならない叫びをあげた。
「そ…そ…っ、それは…っ」
アンリエッタは信じられないといった顔で口をぱくぱくさせた。
「ハリエット自身の口から聞いたわけじゃないが、俺はそう確信してる」
俺がそう言うと、
「えっ…じゃあルイスとハリエットだけど…中身はBL…?!」
と小さな小さな声を絞り出すように言ってから
「…萌える…っ!!」
と、これまた小さな声で言った。
マジで病気だろこいつ…
俺が呆れていると、アンリエッタは言った。
「なるほど、それは確かに、目一杯気を使わなきゃ…ですわね」
「うん、そーゆーわけだから、僕はハリエットに色々言うことはできないから…だから、頼むねアンリエッタ」
レイズが言うと
「…もちろん、おまかせください!」
アンリエッタは芝居がかった表情とセリフでそう言った。
そしてまた小さな声で
「うふふっ…前世でリアルBLとして愛でてきた二人が今世でも…」
ぐふぐふと笑い始めた。
…ビョーキすぎんだろ…
「…あぁ、それで納得したわ」
ぽんと手を打ってアンリエッタがそう言った。
「何がだ?」
と俺が尋ねると、
「最近のハリエットってすごく変わったじゃない?それって、ユウヤだった前世の自分もちゃんと受け入れて、表に出すようにしたからでしょ?」
とアンリエッタは言った。
マジでこいつ、頭の回転速いわ。
「そういう目線で見ると、最近のルイスとハリエットのラブラブっぷりって…中身はハヤトとユウヤなんだよね?」
アンリエッタはにやりと笑った。
ヨダレでもたらしそうないやらしい笑顔だ。
「私は腐女子だからさ、基本的には男の子同士しか萌えないけど、ルイスとハリエットには萌えるよ!」
なんか自信満々にアンリエッタは言った。
「前世では、ハヤトとユウヤくっつけー!っていつも思ってたけど、それは叶わなかったんだよね」
…そんなこと考えてたのかこいつ…
「今世では男子と女子になっちゃったけど、それでも中身がハヤトとユウヤだったら、二人には目一杯幸せになってほしいって思うよ!」
満面の笑顔でアンリエッタはそう言った。
そしてレイズも
「うん、私も同意。男の子と女の子になっても、二人を応援するよ!」
と邪気のない笑顔で言った。
俺はなんだか感動してしまって
「ああ…俺たち絶対、幸せになるから…」
と二人に言った。
「まぁ脳内でのルイス×ハリエットは、ハヤト×ユウヤだけどね!」
レイズとアンリエッタは声を揃えてそう言った。
…俺の感動を返せよお前ら…
昨夜は大団円後の章の冒頭の下書きをしてました。すみません、まだまだ続きますw




