6-1 sideルイス(ハヤト)
学園祭は無事に終わり、売上金を俺とレイズとゴードン、ルードで計算してまとめ、どの施設にどのぐらいずつ寄付をするのかを学園長と話し合った。
売上金は後日それぞれの施設に分配される…ということで学園祭は終わり、学園は日常に戻った。
だが、学園祭の翌日からハリエットは学園に来なくなってしまった。
まさかとは思うが、俺がハリエットに好きだと言ってしまったせいか…?
いや、あの時のハリエットは嫌がっているようには見えなかった。
真っ赤になってうつむいてしまったけれど、迷惑がっているようには感じなかった。
だとしたら…食い過ぎか?
いっぺんに色んなお菓子を腹いっぱい食べたせいで、腹でも壊したのか?!
「ルイスー、なに百面相してんのー?」
レイズの声が耳元で聞こえて、俺は驚いて椅子から少し飛び上がった。
「お、驚かすなよ!」
俺が言うと、
「さっきから呼んでんのに全然返事しないで考え込んでんだもん」
レイズはちょっと頬を膨らませてそう言った。
「あっ…ああ、悪い。聞こえてなかった」
と俺が謝るとレイズは
「どしたん?なんか悩みごと?」
と首をかしげてそう言った後
「…もしかして、ハリエットが欠席してるのと関係してる?」
ずばっと斬り込んできた。
こいつ、勘がいい。
「僕で良ければ、話聞くよ?」
ちょっと心配そうな顔でレイズが言うので、俺はレイズの言葉に甘えることにした。
その夜、俺はレイズを寮の俺の部屋に招き入れた。
「…で?ハリエットと何があったの?学祭じゃあんなにラブラブだったのにさー」
レイズの言葉に、俺はぐっと言葉に詰まった。
「…俺だってそう思ってたんだよ…」
俺が苦い顔でそう返すと
「だよね?ハリエットもラブラブ上等って感じだったしさ。お互い前世のことをわかってきたうえでラブラブになったのかなーって思ったんだよ」
とレイズは言った。
「あぁ…俺もそんな感じに思って…すげぇいい雰囲気だったからさ…」
俺が言うと
「告っちゃった?」
レイズはすぐさまそう言った。
…こいつマジで勘良すぎる。
「で?なんて言って告ったの?」
レイズがぐいぐい聞いてくるので、俺は正直に答えた。
「ハリエット、好きだよ…って言ったんだ」
「うんうん、ハリエットの反応は?」
レイズが聞くので
「しばらく固まった後、”さようでございますか…”って、真っ赤になってうつむいた」
と俺は答えた。
するとレイズは
「好きって言われて、ハリエットはしばらく思考が止まっちゃったんだねぇ。”えっ…殿下が?私に好き…と仰った…?”みたいな」
ハリエットの心情をそう推察した。
「で、ルイスの言葉をしっかり理解したら恥ずかしくなっちゃって”さようでございますか…”って真っ赤になってうつむいちゃったんだね。ハリエット、かわいいー!」
レイズは笑った。
「俺の告白に不愉快になったとかじゃなかったら、なんでハリエットは三日も休んでると思う?」
俺が尋ねるとレイズは答えた。
「考えすぎて知恵熱とかじゃない?小さい子じゃなくても知恵熱って出るらしいよ」
「知恵熱なぁ…」
俺が考え込むとレイズは
「何か他に原因ありそうなの?」
と言った。
「いや…あの時お菓子食べ過ぎてたから腹壊したのかもって。寮に戻るって走って行っちゃったし」
俺が言うと
「どのぐらい食べたの?」
とレイズが聞くので
「菓子グループが売ってたやつ全部」
と俺は答えた。
「…そりゃお腹壊すわ…」
レイズは呆れた顔をしてそう言った。
第6章開始です~。まだもうちょっと続きますが、お付き合い頂けるとうれしいです。




