5-2 sideルイス(ハヤト)
「で?ハリエットが前世持ちだってわかったのに、どうして前世が誰だったのかわからないんだ?」
俺はため息まじりにゴードンに尋ねた。
「ハリエットが俺に”先生”って言った後、しまった!みたいな顔をしたんだ」
ゴードンは複雑そうな顔でそう答えた。
”先生”って言っちまった後、それはまずいって思ったって…
俺が悩んでいると、ゴードンは言った。
「もしかしたらハリエットは、自分の前世が誰なのかを知られたくないのかもしれない」
「えっ…知られたくないって…?」
俺が驚くと、ゴードンは続けた。
「ほら、お前が俺に”先生”って言った後、すぐに”自分はハヤトだ”って言ってくれただろ?」
「あぁ…うん、そうだったな」
俺はあの時のことを思い出してうなずいた。
「自分の前世が誰だったのかを知らせたい相手になら、そうやって自分で明かすんだって…そう考えたら、ハリエットは自分の前世を俺には明かしたくなかったってことだと思ってな」
と、ゴードンは言った。
なので俺は、ハリエットがゴードンに”先生”と言った時のことをもう少し詳しく聞いてみることにした。
「ハリエットが”先生”って言った後は、どういうことを話したんだ?」
ゴードンはうむ、とうなずいて
「俺のことを”先生”と言うからには、俺のクラスの誰かだったんじゃないのかって思ったから、”お前、前世があるのか?”って聞いてみたんだ」
と答えた。
すごいストレートに聞いたんだな…と俺はちょっと驚いた。
隣国の王女に対してその物言いは不敬だろ…と思ったからだ。
「ていうか、どういう流れでハリエットはゴードンに”先生”って言ったんだ?」
と俺が聞くと、ゴードンは
「ハリエットが調子悪そうだったから、悩みでもあるのかと思って声をかけたんだ。そしたらハリエットは、人に言えるようなことじゃないってそう言ってな」
…体調悪そうなら女子特有のアレかもしれないだろ…そりゃ男には言えねぇよ。
「でな、前世でお前らにやったように何かおごってやろうかと思って、ハリエットに”俺が何かおごってやろう”って言ってみたんだ」
…先生の情緒ってこんなもんだったんだ…さすが前世24年間彼女なし。
「そしたらハリエットが”先生みたいな仰りようですわね”って笑ったんだ」
俺の思考は止まった。
「えっ…それって…」
俺が慌てて言うとゴードンは
「ああ、この学園には生徒に何かおごるような教師はいないだろう?だから前世があるのかって聞いたんだ」
と言った。
なるほど、その流れなら納得だ。
「で、その後の会話は?」
とゴードンに詰め寄ると
「”ニシダ先生…?”とハリエットはそう言った」
ゴードンはきっぱりと答えた。
「だが俺からハリエットの前世について尋ねることははばかられたからな。だから”そうだ、担任だったニシダだよ”と答えたんだ」
とゴードンが言うので、
「えっ?なんでハリエットの前世が誰なのか聞かなかったんだ?」
と尋ねるとゴードンは
「だーかーら、お前と違ってすぐに”自分は○○だ”って言わなかったからだよ」
とため息をついた。
「俺が転生できて人生を続けられてて良かったって、目に涙浮かべて笑ってくれたんだよ、ハリエットは」
ゴードンの言葉に、俺はハリエットの優しさを感じつつ、そういうシチュエーションなら、きっとユウヤも同じ反応だっただろうな…と、そう思った。
下書きは落書き帳二枚で一話分なので、70枚なんてあっという間でした…てか、この話、こんなに長くなるなんて思ってませんでしたよw




