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王子になった俺と姫になったあいつ  作者: リュウ
第4章 大混戦の学園祭

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4-1 sideルイス(ハヤト)

俺はいまだにハリエットに対して前世を明かすことが出来ていない。

レイズの言う通り、もしかしたらハリエットはデフォルトのハリエットかもしれない…と思う所もあったからだ。

もちろん、ハリエットとの仲を深めるべく、今まで通り頻繁にハリエットと話をすることは忘れていない。

最近のハリエットは、一時のよそよそしい態度が少しずつ軟化して、俺に対して笑顔を見せてくれることも増えてきていた。

目元をくしゃっとさせて笑うハリエットにユウヤの面影を見ることはあっても、本当にハリエットがユウヤなのかどうか…俺は自信がなくなってきた。

「まだハリエットに前世の話してないの?」

と、レイズは呆れたように言うが、そんな簡単な話じゃないんだ。

そうやって俺がもたもたしている間に、季節は巡り、春になった。


春になると、王立クロス学園では学園祭のようなものが催される。

前世での学祭とは異なり、クラス劇や模擬店といった出し物ではなく、バザーを行うというものだ。

俺たち一年は2クラスあり、俺の属する1クラスでは、女生徒が作る手芸品などをメインとして売り出すことになった。

前世での学祭と大きく違うのは、バザーでの売り上げは全て孤児院などに寄付をするという点だ。

材料費などは貴族や裕福な商家からの寄付で賄われる、言わば慈善事業の一環だ。

貴族の令嬢は教養として皆、刺繍をひと通り修めているので、彼女たちはハンカチなどに刺繍を施したものを出品することになる。

そんな中で異色だったのは、アンリエッタだ。

アンリエッタは得意のお菓子作りで、クラスの売り上げにひと役買うことになった。


アンリエッタは私費でクッキーやケーキなどを作ってきて、クラスの面々に試食をさせた。

「まぁっ…菓子店に並んでいるものと遜色ありませんわね」

「とてもおいしいですわね」

貴族令嬢たちは、口々にアンリエッタのお菓子をほめたたえた。

アンリエッタは

「貴族のご令嬢の方々にそう仰っていただけて光栄です」

と、つつましやかに礼をした。

そこでレイズが

「でしょでしょ?アンリエッタのお菓子、おいしいでしょ?僕もいつもごちそうになってるんだ」

と、へらっと笑って言うと、令嬢たちの表情が変わった。

「…レイズ様は、いつもアンリエッタさんのお菓子を召し上がってますの?」

令嬢の一人がそう尋ねるのに対して

「うんっ、アンリエッタのお菓子、最高においしいもん!」

とレイズが答えると、令嬢たちはざわめいた。

そして小声でひそひそと

「レイズ様に気に入られるには、お菓子作りの腕が必要なのかしら…」

「私、お菓子なんて作ったことがありませんわ…」

と話し合っていた。

…おい、まずいぞレイズ。


俺がハリエット以外には目を向けないと知った女生徒たちは、他のターゲットを探していたらしく、その何割かはレイズを狙い始めていたようだ。

レイズ狙いの女生徒たちは教室の隅に集まって、会議を始めた。

「我が家のシェフはあまりお菓子は作りませんわ」

「当家のシェフは、食後のスイーツを得意としておりますわよ」

「街の菓子店のシェフは…教えて下さらないでしょうね…」

あっ、こいつら自分達も手作りのお菓子を出品する気だ。

俺がそれに気づいてレイズの方を振り返ると、レイズは呑気にアンリエッタとハリエットと学祭の話をしていた。


俺をターゲットから外した女生徒たちの次なるターゲットは、将来的に俺の側近となる予定のレイズとルード、そしてゴードンだった。

俺のクラスには他にも貴族令息は何人もいるのだが、やはり将来の王太子側近とは出世などの面で比較にならない。

俺の将来の側近候補の中でもレイズは最もフレンドリーで、接近しやすいように見える。

レイズはアンリエッタと将来を誓っているが、いくら次男とはいえ公爵家の人間だ。

婚約となれば、まずは家同士での話し合いが必要だし、しかる後に公的に婚約を発表しなければならない。

…貴族って、めんどくせぇ…

 

第4章、学園祭編開始です~

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