3-10 sideルイス(ハヤト)
レイズとアンリエッタが、二人らしいハッピーエンドへの道を決めたことを知って、俺は安心した。
が、まだ問題は残っている。
「なぁ、ハリエットと話はできたか…?」
俺がおずおずと尋ねると、レイズはぱんっと手を叩いて言った。
「あ!ごめん、それを早く報告しなきゃだったね!」
「…それで、どうだった?ハリエットはなんて…」
とおそるおそる聞く俺に、レイズはにこっと笑ってこう言った。
「ハリエットは、ルイスに恋しちゃったみたい」
…え?!
ハリエットが?!俺に恋?!
「そ、それでなんであんな態度…」
と俺が尋ねると、レイズは
「あのね、ハリエットはルイスといると胸がどきどきするんだって」
と、柔らかく笑ってそう言った。
ハリエットが…ホントに…?!
俺といると胸がどきどきするって…?!
とてもじゃないが信じられなくて、俺の頭には疑問符しか浮かばなかった。
「間違いなくハリエットはルイスに恋してるんだけど…でも」
レイズが気になる言い方をしたので、俺は
「でも?」
と聞き返した。
するとレイズは
「ホントにハリエットってユウヤなのかな…?」
と、聞き捨てならないことを言った。
「ホントにハリエットはユウヤなのかって…どういうことだ?」
俺がそう言うと、レイズは複雑そうな表情で
「ハリエットってさ、ホントに女の子の中の女の子!ってカンジなんだよね…だから、ホントにハリエットはユウヤなの?って思っちゃったんだ」
と、そう言った。
ハリエットがユウヤじゃない…?
そんな…でも確かに、俺がハリエットをユウヤかもって感じたのは、あの笑い方だけだと言える。
でも、他ならぬ俺が他ならぬユウヤを見つけられないなんて…そんなことは…と俺が考え込んでいると、レイズは言った。
「ルイスは…ハヤトは、自分がユウヤをユウヤだってわからないなんてありえないって思ってるんだよね?」
なので俺は
「あぁ…俺はそう思ってる」
と答えるしかなかった。
するとレイズは
「だったら、それを信じるしかないね」
と、きっぱりと言った。
「私やリオ…アンリエッタには、ハリエットはデフォルトのハリエットのようにしか思えない…けど、ルイス…ハヤトがハリエットをユウヤだって言うなら、ハヤトの言葉を信じるしかないよ」
にっと笑ってレイズは言葉を続けた。
「まだルイスは、ハリエットに前世の話はしてないんでしょ?」
そう言われて、俺は言葉に詰まった。
ハリエットはユウヤだろうと…ユウヤかもしれないと思いつつ、もしもそうじゃなかったら…と思ったら、怖くて確認できなかった。
その結果が、今のぐだぐだと悩み続けている状況だ。
…そろそろ、腹を決めないと…な…
そう思ったので俺はレイズに
「あぁ…そろそろ確認してみないと…な…」
と、我ながら弱弱しい声で返した。
「うん、それがいいね」
とレイズは笑って、アンリエッタに会うために部屋を出て行った。
ハリエットがユウヤかどうか確認して…もし、もしもハリエットがユウヤじゃなかったら…俺はどうすればいい…?
なんかレイズが雄々しくてルイスが女々しいですねw




