3-8 sideルイス(ハヤト)
いきなり恋人になりたい宣言をしてきたルードに、俺は固まった。
どう答えるべきなのかしばらく逡巡した後、俺は、ルードにも前世があるのかどうかをルードに尋ねてみることにした。
もしかしたら、ルードにも前世があって、そのせいでストーリーから外れた言動をするようになったかもしれないからだ。
「…ルードには、前世の記憶はあるか?」
ルードは、深い藍色の瞳をぱちぱちとしばたたかせた後、こう言った。
「クロス王国王家の始祖は、かの英雄ルイージでありますれば、ルイス殿下の前世が英雄ルイージであっても何ら不思議はございませんが、我がエイサン伯爵家にはそのような始祖は存在しておりませんので、残念ながら私には前世の記憶などはございません」
あ、ルードはホントにデフォルトだ。
ルードがデフォルトキャラだと確認したので、俺は言った。
「あぁ…すまない、今の問いは忘れてくれ」
ルードは不思議そうな顔をしながらも
「はっ、仰せのままに」
と礼をした。
ルードも立派な攻略対象者なのに、デフォルトなのに…と思うと、俺はルードに尋ねざるを得なかった。
「…ルードは、その…俺のことが好き…なのか?」
するとルードは
「はい、お慕いいたしております」
と、至極真面目な顔でそう言った。
…マジかよこいつ…
とはいえ、”慕う”にも色々あるだろう。
主としてとか、兄のようにとか、色々な”慕う”パターンはあるはずだ。
なので
「それは、主としてという意味か?兄弟のようにという意味か?」
と、俺はルードに聞いてみた。
するとルードはちょっと困ったように
「殿下への思いは、そのような単純なものではございません」
と答えた。
「まずは主として…そして、殿下の方が少し早くお生まれになったので、兄のようにというのも間違いではございません」
ふむふむ。
俺がうなずいていると、ルードは続けた。
「学園入学後、殿下はパーティなどでの席とは違い、とても砕けた接し方をなさって下さるようになりました。なので、不敬ではございますが、一人の人としてとても好ましく感じるようになった次第です」
…俺がストーリー通り動かなかったせいかよ…
罪悪感に胸が痛みつつも、俺はルードに聞いてみた。
「で?一人の人として好ましいと感じた俺への今の感情は?友情なのか?恋愛感情なのか?」
ルードはちょっと恥ずかしそうに答えた。
「それは…今しがた申し上げました通り、私の殿下への気持ちは色々な感情が混ざり合っている状態ですので、私自身、その中のどれかひとつとは決めかねている状況でございます」
あぁ、なるほど、友情でもあり恋愛感情でもあり…どう転んでも好意は好意ってことなんだな。
だったら普通に友達として交流を深めるって形でいいよな?という無難な考えに俺は落ち着いた。
いやマジで、ルードの俺への気持ちがガチ恋じゃなくて良かった。
心から安心したので、俺はルードに笑いかけた。
「そうか、じゃあこれからもっと色々な事を一緒にやって、色々な事を話し合って、お互い成長できるよう研鑚を続けよう」
するとルードはなぜか頬を赤らめて、一瞬止まった後
「は、はい…よろしくお願い致します…」
と、ルードらしからぬしおらしいソフトな礼をした。
…俺、なんか言い方間違ったか?
寒くなってきたのでコーラサワー飲むとめっちゃ寒いですwそろそろブランデーのお湯割り飲みたい…←




