3ー7 sideルイス(ハヤト)
ハリエットが俺に冷たくなった原因については、レイズとアンリエッタが尋ねてくれるので、俺は二人の報告をおとなしく待つことにした。
やっぱり女子たちに囲まれていじめられそうになったのが原因だろうか、それとも俺がハリエットと仲良くしようと頑張りすぎたせいだろうか…
レイズとアンリエッタを待つ間、俺はいつもの集まり用の小部屋で、ひとり紅茶をすすっていた。
すると、そこにルードが入ってきて、俺に礼をした。
そしてルードは少し言いにくそうに迷った後、俺に
「…殿下、さしでがましいとは存じますが…その、ハリエット様と何かございましたか?」
と尋ねてきた。
なので俺は正直に
「あぁ…ルードも気づいてたのか。最近ハリエットが俺に対してよそよそしくなってきた気がして…な」
と答えた。
「やはり、そうでしたか…」
と、気の毒そうに言った後、ルードは
「レイズとアンリエッタ嬢が仲睦まじい分、殿下とハリエット様のご様子がよろしくないことに気づきました」
と言った。
ルードにすら気づかれるくらい、レイズとアンリエッタは親密になってるってことか…
「俺はレイズからは何も聞いてないんだが、あの二人、そんなに仲良さそうなのか?」
と尋ねるとルードは
「はい、かなり親密そうなので、すでに恋人同士と言って良い間柄ではないかと」
とうなずいた。
えっ?!マジで?!レイズからはそこまでとは聞いてないぞ?!と心の中で俺は驚いた。
ってことは、レイズは自分がマユだってアンリエッタに明かした…ってことか?
と考えて、俺はレイズが持っていた、手作りらしいクッキーのことを思い出した。
そういえば前世のリオはお菓子作りが得意だった。
アンリエッタがレイズに手作りのお菓子を差し入れたってことは、つまりはレイズが自分の前世を明かし、アンリエッタであるリオとお互いを確認し合ったってことじゃないのか?
そうか、それなら良かった…何よりだ。
と俺が考えを巡らせていると、何を勘違いしたのか
「殿下…殿下のご婚約はあくまで国同士の取り決めでございますれば、レイズ達のような自由恋愛とは全くもって異なるものです」
と、ルードは言った。
「あ?あぁ…まぁそうだな」
俺は適当に相槌を打った。
するとルードは
「ハリエット様とのご婚約ご結婚は形式的なものとして、殿下にも自由恋愛を楽しむ権利はございます」
と、また何やら方向違いなことを言い出した。
は?何言ってんのコイツ…と思っていたら、さらにルードは言葉を続けた。
「わが国では、国王陛下ならびに王太子殿下は、側妃を持つことができるという法律がございます」
「まあ父上は側妃は置いてないけどね」
と俺が言うと、ルードは言った。
「陛下は自由恋愛の末、現在の王妃殿下とご結婚なさったとうかがっておりますが、殿下とハリエット様はそうではございませんので…」
なんか回りくどい物言いだな…と思って俺が
「で?俺に自由恋愛での側妃を持てって?」
と尋ねると、ルードはどえらい爆弾を放り投げてきた。
「側妃…ではございませんが、私めが殿下の自由恋愛のお相手になりとう存じます」
俺は持っていたティーカップを落としそうになった。
え?!こいつデフォルトのルードだよな?!
デフォルトのルードって、ルイスに惚れてたのか?!
最近最低気温が20度を切ることが増えてきて寒いですが、私は北国住まいではありませんw




