2-13 sideルイス(ハヤト)
「ホントか?!ホントにレイズがマユなのか?!」
とゴードンはまた大きく目を見開いて身を乗り出してきた。
俺はうなずいて、レイズと俺は母親同士が姉妹だったので、三歳から付き合いがあったこと、その時にはすでにお互いをお互いだと確認し合って今後のことや他に転生者がいないかどうかなどを話し合ってきた…ということを説明した。
「そうか…そうか、マユも転生してたか…」
またゴードンは涙を浮かべ、少し微笑んだ。
あのバスでユウヤのすぐ後ろ…右側の列の窓際に座っていたユウキも転生していて、俺の弟になったことも説明するとゴードンは
「同時に死んだのに時間差で転生することもあるんだなぁ…」
と不思議そうな顔をしていた。
その後少し考えてからゴードンは俺に尋ねた。
「ユウヤは?ユウヤはこの世界に転生してないのか?」
俺がかぶりをふって
「ユウヤに関しては、まだわからないんだ」
と答えると、ゴードンはそうか、と肩を落とした。
「お前たち、一番仲良かったのになぁ…」
とゴードンが言うので、俺はゴードンに尋ねた。
「…先生、俺がユウヤを好きだったって、知ってた?」
ゴードンは二、三度まばたきをしてからこう言った。
「それは…恋愛的な意味でってことか?」
俺がうなずくと、ゴードンは
「う~ん…なんとなく気づいてた、かな?」
と答えた。
「なんで?そんなにあからさまだった?」
と俺が尋ねると、ゴードンは
「あからさま…ではないけど、普段のハヤトのユウヤに対する態度を見てたら、なんとなく…かな」
と柔らかく笑った。
「一年の時の学祭で、クラスの出し物がメイド喫茶に決まった時、うちのクラスは女子が少なかったから、誰か男子に女装させろって話になっただろ?」
ゴードンが言うので俺はうなずいた。
「その頃ユウヤはまだ少し背が低かったからって、クラスのほとんどがユウヤに女装させろって言い出したら、お前がすぐに手を上げて、自分がやる!って言ってユウヤをかばっただろ。女装しろって言われた時、確かにユウヤはほんの少しだけど困ったような顔してたから…ハヤトはユウヤをホントに大切にしてるから、守ったんだなって思ったんだ」
ゴードンの言葉に、俺は感動とも何とも言い難い気持ちになった。
「…そんなとこまで気づいてたんだ…やっぱり先生は優しいな」
と言うと、ゴードンは笑った。
「そうじゃないよ、俺は”いい先生”になろうと思ってただけだ」
ゴードンの言葉に、俺は胸のあたりがじんわりあったかくなるのを感じた。
「…あのさ、俺…前世でも今世でも、男しか好きになれないんだ…」
俺の告白に対するゴードンの答えは
「それは仕方ないんじゃないのか?」
だった。
「うん…まあ前世なら仕方ないで済むかもだけど、今世の俺は王太子で、女の子と結婚しなきゃいけないんだ」
と言うと、ゴードンはうなずいた。
「…そうだな、もう婚約者もいることだしな…」
「その婚約者のハリエットのことなんだけど…もしかしたらユウヤかもしれないって時々感じることがあってさ」
と俺が言うと、ゴードンはきょとんとした顔で答えた。
「それが本当なら何も心配することはないんじゃないのか?」
なので俺は、中身がマユであるレイズには言えない悩みを打ち明けた。
「もし中身がユウヤでも、体が女の子なら、俺…ダメかもしれないって…」
ゴードンが首をかしげた。
「?どういうことだ?」
「だから、俺は男しか愛せないから、その…夜のアレとかがハリエットとはできないかもしれない…ってことだよ」
と言うと同時に俺の部屋のドアが開いた。
「それは…本当なのですか?」
いつの間に居たのか、ルードがそこに立っていた。
もうちょっとで第2章終わりです~




