表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王子になった俺と姫になったあいつ  作者: リュウ
第10章 夢のはざまに現実をかえりみて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

134/145

10-7 sideルイス(ハヤト)

一週間弱の道のりを経て、ハリエットと俺はクロス王国に戻った。

道中はとても楽しく、にこにこと笑うハリエットがかわいくて仕方なく、俺は何度となくハリエットを抱きしめたいと思う衝動にかられた。

…が、一度たりとも実行には移せなかった。

ヘタレすぎるだろ俺…

そんな俺の心中など知らないハリエットは、馬車から見える人や景色を楽しそうに見て

「殿下、あのお店のお花はオットーバッハ王国特産ですのよ」

「まあ…すてきな建物。あれは何のお店でしょう?」

などとはしゃいでいた。

ああもう全部がかわいすぎる…

ハリエットがユウヤで、ユウヤがハリエットだという事実を、二人同時に見たあの夢で改めて思い知った。

そしてそれでも今のハリエットが一番好きだと思う自分の気持ちを実感して、ハリエットへの想いが止まらない。

ハリエットに触れたい…でも…ともだもだしているうちに、俺たちはクロス王国に着いた。

ハリエットの侍女も同じ馬車に乗っていたが、俺たちに何か言うこともなく、終始にこやかに俺たちを見守り続けていた。

それも俺がハリエットに触れられなかった理由のひとつだった。

この侍女ってハリエットのお目付け役でもあるんじゃないのか…と俺は思った。


クロス王国に着いても、学園の寮は新学期の三日前でないと入れない。

なのでハリエットと侍女はいったん王宮に来て、入寮日には寮に入る…ということになっていた。

ハリエットを構い倒していた王宮のメイドたちは、ハリエットがまた少しの間王宮に逗留することに歓喜していたが、今回はもう前回のように構わないようにとハリエットから頼まれていた。

「そんなっ…」

「淋しゅうございますわ…!!」

メイドたちは嘆いていたが、仕方ない。

新学期が始まる前にハリエットを疲れさせるわけにはいかない。

ハリエットは前回逗留したのと同じ貴賓室で三日ほど過ごし、その後は寮に入ることになるので、できるだけ一年生の時の寮での生活と同じように生活した方が良い。

八月二十六日のアンリエッタの誕生祝は王宮のサロンで、八月三十一日のハリエットの誕生祝は学園で…と、みんなとも打ち合わせしてあったので、俺たちが王宮に戻るとすぐにレイズたちがやってきた。


「ルイス、ハリエット、久しぶりー!」

「元気だったか?」

レイズとゴードンがサロンに入ってきた。

ルードはお見合いを終えて、父であるエイサン伯と婚約者について話し合っているらしい。

アンリエッタとクラリアは王宮の調理室に行き、ハリエットも二人について行った。

レイズとゴードンとの三人になったので、俺は二人に言った。

「ハリエットがかわいすぎて辛い…」

俺の言葉にレイズは

「はいはい、のろけおつー」

と言い、

「うむ、仲良きことは美しきかな」

とゴードンはうんうんとうなずいた。

なので俺は、オットーバッハ王国でハリエットと同じ夢を見たことを…夢の内容を二人に話した。

レイズとゴードンは俺の話を聞いた後、しばらく黙りこんでから

「…それは…」

「…残酷な夢だな…」

と辛そうな顔で言った。

ハリエットと俺が見た夢は、本来なら…あんな事故さえなければ、俺たち全員が実際に体験していたはずのこと…共に過ごしていたはずの、楽しく幸せな時間だ。

俺たちは黙ってじっと考え込んでいた。


沈黙を破ったのはレイズだった。

「…でもさ、実際に事故は起きて、みんな死んじゃってさ。それでこの世界に転生したわけじゃん?今のこの世界が僕たちにとっての現実なんだからさ。ここで…今の自分で幸せに生きてくことを考えなきゃでしょ?」

レイズの言葉に

「…そうだな。過去をどうこう思っても仕方がない。俺たちは今、この世界で生きているんだからな」

ゴードンもそう言った。

「…ああ…そうだな…」

俺はただうなずくしかなかった。

「…で?そーゆー夢のせいもあって、ハリエットがかわいすぎて困るって?」

レイズがにやっと笑った。

「婚約者なのだから、手を握っても抱きしめてもかまわんのではないか?」

ゴードンが真顔で言った。

「…前世で恋愛経験のなかった俺にはハードルが高いんだよ…」

俺が言うと、

「えー?思うままに動けばいーじゃん?なんで悩むかなー」

レイズは呆れたようにそう言った。

「…そんな簡単な話じゃないんだよ…」

俺はため息をつくしかなかった。


そこにハリエットがやってきた。

「ハリエット、ケーキは?」

と俺が尋ねると、

「今、お土産のリンゴをアンリエッタ様がお砂糖で煮て様子を見て下さっていますの。アンリエッタ様のお祝いなのに申し訳ないとは思うのですが、私には手の出せない作業ですので、席を外してきたのですわ」

ハリエットは笑ってそう言った。

…かわいすぎる…

いつかは自然に手を握ったり肩を抱いたりできるようになるんだろうか…

ヘタレすぎる自分自身に、俺は俺を情けなく思った…

 

今日めっちゃ寒くてエアコンつけたんですが、やっと部屋があったかくなってきた頃には入力が終わってたという…うちのエアコン、パワー弱いのかな…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ