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王子になった俺と姫になったあいつ  作者: リュウ
第10章 夢のはざまに現実をかえりみて

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10-5 sideルイス(ハヤト)

目が覚めた俺の目に、まず天井が見えた。

オットーバッハ王国貴賓室の、白と金の天井だ。

夢から覚めて、現実に戻ってきたんだ。

…と、俺は誰かが俺の隣にいるのに気付いた。

見ると、ハリエットが俺の隣で眠っていた。

「…ハリエット…?!」

驚いていると、ハリエットがうっすらと目をあけた。

そして

「殿下…」

と小さな声でそう言った。

「な…なんで…」

俺が慌てていると

「殿下が早々にお休みになられたので、具合が悪くなってはいけないと様子を見に来たのです。そうしましたら、殿下が…泣いていらしたので…心配になって殿下の隣で横になっているうちに私も眠ってしまったようですわ…」

ハリエットはそう言った。

そして続けて

「殿下…私、夢を見たのです。ユウヤだったあの頃の夢を。修学旅行のバスが事故に遭わなかった後の…幸せな夢を…」

と言った。

まさかっ…俺たちは同じ夢を見ていたのか…?


「俺は…俺も…多分同じ夢を見ていた…」

俺の言葉に

「スキー場に着いて、スキーをしましたか…?」

とハリエットが言った。

「うん…事故に遭わなければそうなっていたであろう夢を…幸せな夢を…見ていたよ…」

と俺が言うと、

「私もですわ…私はユウヤで、殿下はハヤトで、二人で楽しく過ごしましたわ…」

横になって俺を見つめたまま、ハリエットは答えた。

「…俺の夢は…バスの中で朝目覚めたらユウヤがいた…って所から始まったんだが…ハリエットの夢は?」

俺が尋ねると、ハリエットは

「私は…バスの中で殿下が…ハヤトが私に…ユウヤに抱き着いて泣いているところからでしたわ…」

と言った。

どうやら俺たちは完全に同じ夢を見ていたらしい。

「幸せな…幸せな夢でしたわね…」

ハリエットは、うすく微笑んだ。


「…マユやリオとのやりとりとかも夢に出てきた?」

俺がそう聞くと

「ええ、マユはレイズ様ではなく、リオはアンリエッタ様ではありませんでしたわね」

ハリエットは笑った。

「…先生もゴードンじゃなかったな」

と俺が笑うと、

「ええ、でも性格はゴードン様のままでしたわね」

と、ハリエットも笑った。

「…やっぱり俺たち、同じ夢を見ていたんだな…」

俺がつぶやくと、

「ええ…本当に不思議ですわね…」

ハリエットもそう言った。

「でも…本当に楽しい夢でしたね…」

ハリエットは、俺を見つめて…でも、少し遠い目をして言った。

「…そうだな…」

俺は細く息を吐きながら応じた。


「…殿下…私、夢の最後に…ハヤトに好きだって言いましたの。覚えていらっしゃいます?」

ハリエットの言葉に

「ああ…ちゃんと覚えてるよ…」

俺はうなずいた。

「あの夢の中での私は完全に前世のユウヤでしたわ。でも…今の私の気持ちも、ユウヤの中にはあったのです」

とハリエットは言った。

「うん…気づいてたよ…」

俺は修学旅行最後のホテルでの夜のことを思い出して、そう答えた。

「前世の私は、自分がハヤトのことを好きだと自覚していなかったので…なのでハヤトから告白されても断っていただろう…と、そう殿下に申し上げましたこと、覚えていらっしゃいますか…?」

ハリエットの問いに

「うん、覚えてるよ」

俺はうなずいた。

「もしあの夢が現実と同じなら、ハヤトが…殿下が辛い思いをなさるのではないかと、そう思ったので、私は私として、ユウヤとして、バスの中でハヤトに向かって好きだと言ったのです…そうしましたらハヤトが涙を流して…そこで目が覚めて…」

ハリエットの声は尻すぼみに小さくなっていった。

「じゃあ、最後の俺の言葉は聞こえてなかった?」

俺がそう尋ねると、ハリエットは

「最後の…?」

と首をかしげた。

「俺は”ハリエット”って言ったんだよ…それで目が覚めた」

ハリエットにはそれですべてが伝わったようだ。

今の俺はハリエットを愛していること…前世のユウヤごと愛しているけど、一番愛しているのは、今のハリエットだということが。

「…殿下っ…」

涙を浮かべるハリエットの右肩を、俺の左腕で包み、俺はそっとハリエットを抱き寄せた。

 

夢でユウヤに戻ってた時はユウヤの話し方だったのに、やっぱりハリエットはハリエットの話し方になるようですw

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