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王子になった俺と姫になったあいつ  作者: リュウ
第9章 楽しいはずの夏休みにも問題発生?

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9-15 sideハリエット(ユウヤ)

殿下はもっと城下町を見て回りたいと仰ったのですが、殿下がしばらく逗留なさると聞きつけた貴族たちともお会いにならなければならないため、私たちは王宮に戻らなければなりませんでした。

王宮に戻り、お忍び用の衣装から着替えた私たちは、侍従に案内されてサロンに向かいました。

サロンで数人の貴族と挨拶をした後、最後に控えていたのは、私がひそかに”コメツキバッタ”と呼んでいるリンツ伯爵でした。

彼は私たちを見るとうやうやしく頭を下げ、

「ハリエット殿下、ルイス王太子殿下、お会いできまして光栄にございます」

と言いました。

そして

「ルイス王太子殿下におかれましては、早速に我が国の城下町に赴かれ、下々の者たちの暮らしぶりをご覧になられたとのこと、誠に素晴らしきお方にございますな…」

と、へこへこと頭を下げながら言ったのですが、

「…下々とは?」

と殿下が伯爵をにらみつけながら仰ると、

「は…?」

と、首をかしげて伯爵は言いました。

「オットーバッハ王国には、民のことを下々の者などと申す貴族がいるのだな」

殿下はさらに伯爵をにらんでそう仰いました。

「いえ…あの…」

しどろもどろに伯爵が言うと、

「ハリエットの我が国での親友は商家の娘だが、そなたの申しようでは、ハリエットの親友も下々の者ということになるが?」

と殿下は仰いました。

「…っ!!」

声にならない声を上げて、伯爵は凍りつきました。


「殿下、申し訳ございません。我が国の貴族のほとんどはリンツ伯爵のような差別的な考えは持っておりません。リンツ伯爵だけが特殊なだけでございますわ」

私がそう申し上げると、殿下は

「そうであっても…一人でもこのような者がいると、国の格が下がりはしないか?」

横目でじろりとリンツ伯をにらみ、そう仰いました。

リンツ伯はがたがたと震え始め

「もっ…申し訳ございませんでしたっ…」

と殿下に平伏して謝りましたが、

「謝るならハリエットに謝れ。ハリエットの親友を馬鹿にしたも同然なのだからな」

殿下は冷たい表情で仰いました。

「もももっ申し訳ございませんでしたっ!!」

リンツ伯は私に向かってぺこぺこと頭を下げて謝りました。

なので私はにっこりと笑い、

「許しませんわよ?私の大切な大切なお友達を馬鹿にしたような言い方をされて、許せるはずもございませんわ」

とリンツ伯に言いました。

「ひえぇっ…」

リンツ伯はその場に崩れ落ち、私たちはサロンを出ました。

まったく…あのコメツキバッタときたら…と、私は内心で毒づきました。


私たちとリンツ伯の一件はすぐに父の耳にも入り、父は慌てて私たちの元に飛んできました。

「すまんっすまんっ!!あやつの物言いには以前も苦言を呈しておいたのだが…性懲りもなく…」

父が私たちに謝ると、

「陛下がお謝りになる必要はございません」

殿下は父にそう仰いました。

「ですがあのような者を野放しにしておりますと、そのうち何らかの問題を起こすのではないかと危惧いたします」

という殿下のお言葉に、

「うむ…確かに…」

父はうなってうなずきました。

「わしらが綺麗な服を着てうまいものが食べられるのは全て民のおかげだというのに、それを理解しておらぬ貴族がいるというのは我が国の恥である…」

父の言葉に殿下は

「さすがオットーバッハ王国国王陛下。ハリエットの経済観念がしっかりしていると母がほめておりましたが、それは陛下のご教育のたまものなのですね」

とにっこり笑って仰いました。

すると父は

「それは当然であろう。クロス王国国王も同じ考え方をお持ちで気が合うので、そなたたちの婚約話も進んだようなものだからな」

と笑って言いました。

殿下と父との関係がうまくいきそうで、私は安心いたしました。


「そうですわね。殿下も一般的な年齢並みのお小遣いをもらっていらっしゃいますものね」

私が笑って言うと、

「何?クロス王国では王太子も年並みの小遣いなのか?」

と父が殿下に尋ね、殿下は

「毎月五千ジェニーというのが私の小遣いの額です」

とお答えになりました。

「そっ…それは少なすぎるのではないか?…いや、我が国の王族の小遣いが多すぎるのか…?ハリエットは月一万ジェニーだが…」

父が戸惑っていると、

「女性には男より多めのお小遣いが必要でしょう。女性同士で買い物に行ったり、その他にも…その…乙女になると色々と物いりだと聞いておりますし」

殿下はそう仰いました。

「な…なるほど…」

父はそう言った後、はっとした顔で

「乙女になると色々物いりになるのなら、一万では足りぬのではないのか?」

と私に尋ねてきましたが、

「充分でございますわ。いつも民に感謝しつつ、お小遣いを大切に使わせて頂いております」

私が笑いかけると、父もほっとした表情になりました。

「それより殿下こそ、学園祭で私の刺繍作品を買い占めるためにお小遣いをためて下さったと伺っておりますわ」

私がそう言うと、父は

「なんと…」

と驚いた顔をして殿下を見つめました。

「ハリエットの刺繍を私以外の者に買わせるなど許せませんでしたので」

という殿下のお言葉に、父は目を見開いた後、

「そうか、そうか…」

と優しく笑いました。

そして

「ハリエット、わしにも刺繍作品をくれないか?」

と私に言ってきたので、私は

「私の刺繍は高いですわよ?」

と父に返しました。

「ハンカチ一枚千ジェニーだよな?」

と殿下が私に仰ったので、三人で大笑いしてしまいました。

殿下と父と私でこのように笑いあえるなど幸せで…幸せすぎて怖いぐらいですわ…

 

これにて第9章終わりです。一応第10章で終わり…ということで、次から第10章が始まります~

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