9-10 sideルイス(ハヤト)
クラリアのドレスやアクセサリーも決まり、メイドたちも落ち着きを取り戻した。
ゴードンの誕生日はもう目前に迫っていたが、ゴードンへのプレゼントはレイズとルードと相談し、すでに決まっていた。
ゴードンは騎士になることが決まっているので、良い剣はどうだろうという話になっていた。
通常クロス王国の騎士は支給された鉄の剣を使っているが、個人的に他の剣を購入して自分専用として使う者もいる。
あちこちに尋ねてみたところ、支給品の鉄の剣よりも頑丈で見た目も良いのは、はがねの剣だとわかった。
鉄の剣にはがねの剣ってド○クエみたいだな…と思いつつ、俺ははがねの剣をどう入手すべきなのかを調べてみた。
王宮内に武具を製作する部署があるらしく、はがねの剣はそこに注文して作ってもらうとのことだった。
武具と言えばファンタジーの世界ならドワーフの作るものというイメージがあるが、残念ながらこの世界は前世の世界の中世のような世界なので、魔法使いもエルフもドワーフもいない。
俺はゴードンのためのはがねの剣を注文するため、武具の製作所に赴いた。
「…これはっ、ルイス王太子殿下!」
俺を見た職人が慌てて礼をしたので、
「良い。少々頼みがあってこちらに来たのだ」
俺はそう言って頭を上げさせた。
「はっ…ご用と申されますと…?」
職人が尋ねてきたので
「ああ、ゴードンの…騎士団長の次男の誕生祝に、はがねの剣を作ってくれるよう頼みに来たのだ」
俺が言うと、
「ゴードン様の…!ということはかなり尺の長い剣が必要となりますな…」
職人はそう答えた。
「え?そうなのか?」
と俺が聞くと
「ゴードン様は上背がおありになられますので、剣も長いものが必要となります」
職人はそう言った。
「確かに…並みの男と同じ長さの剣ではゴードンの長身には合わないな…」
俺の言葉に
「さようでございます」
と職人は頭を下げた。
そういえばゴードンは前世で剣道ひと筋だったっけな…
「わかった。ゴードンにも聞いてみてからにしよう」
俺が言うと、職人は
「そうなさっていただければ、ゴードン様にぴったりの剣を鍛えられます」
また頭を下げた。
サプライズではなくなってしまうが、ゴードンの体に合わないものでは贈っても意味はない。
そう思った俺は、ゴードンに尋ねてみることにした。
いつもの勉強会の後、俺はゴードンに聞いてみた。
「剣道の竹刀とかって、使う人間の身長とかによって違うのか?」
ゴードンはちょっと考えてから
「ああ。子供用や女性用、平均的な身長の男や大柄な男など、身長に合わせて竹刀の長さは違う。長さが同じでも女性用は軽いしな」
と、そう言った。
なので俺は
「そうか。じゃあ騎士の剣の長さも人によって違うのか?」
と、またゴードンに聞いてみた。
「うむ。騎士団で使う鉄の剣も何種類か長さや重さが違う物があって、入団時には各々に合うものを選べるようになっているらしい」
ゴードンはそう答えた。
なので俺は
「ゴードンほど体が大きければ、騎士団の剣では足りないんじゃないのか?」
と聞いた。
するとゴードンは
「いや、俺の父親は俺と同じぐらいの体格なので、父用の剣なら俺の体にも合うだろう。父用のものも騎士団の剣の中に何本かあるはずだ」
と言った。
ならゴードンの父親用の剣を騎士団に借りて、同じものをはがねで作ってもらえばいいってことだ。
「そうか…勉強会の後に時間を取らせて悪かったな、ゴードン」
俺が言うと、ゴードンはなんだか生暖かい目をして笑った。
…プレゼントは何なのかお見通し…という感じだ。
そして俺は武具職人にゴードンから聞いたことを伝え、職人は騎士団長用の鉄の剣を元にしてゴードン用にはがねの剣を作り始めてくれた。
剣を鍛えるには数日かかるそうで、ゴードンの誕生日に間に合わないんじゃないかと俺はやきもきした。
ゴードンの誕生日まで、俺は武具の製作所に毎日通って様子を見ていたが、ゴードンの誕生日前日…七月三十一日に、職人ははがねの剣を作り上げてくれた。
「殿下、お待たせいたしました」
職人の差し出した剣は美しく輝き、俺は手に取ってゲームの勇者のように剣を片手で掲げようとした。
…が、重すぎて上がらなかった。
これを振り回せるって…マジで勇者並みかよ、ゴードン…
「はがねの剣」は漢字では「鋼の剣」ですが、ドラク○では平仮名なので、平仮名にしておきましたw




