12 sideレイズ(マユ)
14歳になる年…学園に入る少し前に、私はルイスに呼ばれ、王城でお茶会をすることになった。
私も最近は忙しく、勉学に剣術にいそしんでいたので、ルイスと会うのは久しぶりだ。
ハリエット王女とルイスの婚約に関しては父上から少し聞いていたので、多分その件に関して何か話したいんじゃないかと予想していた。
王城のルイスの部屋に入って卓に着くと開口一番ルイスは
「レイズ…やっぱりハリエットはユウヤじゃなかったよ…」
と、情けない声と顔でそう言った。
「やっぱりってのは予想してたってこと?」
と尋ねると、ルイスはうなずいた。なので
「ホントに?ホントにユウヤじゃなかったの?前世の話とかしなかったの?」
と私が言うと、ルイスは
「ハリエットは、前世なんてありませんってな感じに完璧に王女様だったよ…」
とうなだれた。だから私は
「それってルイスがいつものよそいきネコかぶってたからじゃないの?」
と尋ねてみた。
ルイスはクロス王国の第一王子だから、私と内緒で話す時以外は完璧な王子様としてふるまっている。
「ルイスがそんなだったから、ハリエットもネコかぶってたのかもよ?」
私がそう言うとルイスは
「…そんな感じじゃなくて、板についた王女様だったんだよな…」
と、ひとつ大きなため息をついた。
ルイスは…っていうか、ハヤトは前世からしてネコかぶりだったと思う。
私たちと話が合うぐらいかなりオタク寄りだったハヤトがカースト上位になったのは、ハヤトのネコかぶりがすっごく上手だったからだ。
オタク趣味のことだけじゃなく、世間一般の流行にも詳しかったから、オタクともオタク以外とも…誰とでもそつなく話を合わせることが出来たのが、前世のハヤトだった。
ハヤトは結局ハヤトだから、この世界の王子様に転生しても、ネコをかぶって王子様として完璧にふるまえるんだろう。
そう考えて前世のユウヤのことを思い起こせば、ユウヤもハヤトにひけを取らないネコかぶり上手だったと言える。
ユウヤはルックスでも成績でもスポーツでも抜きん出てたけど、それで調子に乗るようなことは一切なくて、すごく感じのいい子だった。
ユウヤに裏の顔なんてなかったとは思うけど、どこか近寄りがたい雰囲気があったのは、表面に見えるユウヤがユウヤの全てじゃなかったからじゃないかな。
だったら…もしハリエットがユウヤだったなら、前世のことを完璧に隠しおおせると思う。
ハリエットがユウヤである可能性はゼロじゃない。
…という私の考えをルイスに言ったら、ルイスはずいぶん考え込んでから言葉を発した。
「…確かにそれはあり得る…けど…」
「けど?」
「俺がユウヤをユウヤだって気づかない訳ないと思う」
妙に自信満々なルイスにずっこけそうになったけど、何とか耐えた。
「あのさ…完璧にネコかぶれる者同士がネコを三匹も四匹もかぶったままで会話したってお互い何も気づかないんじゃない?」
と言ったら、ルイスはさらに真剣な顔をして考え込んで、
「……確かに…その可能性は否定できないな…」
と、私の考えに同意を示したので
「学園に入学したらハリエットと行動することも多くなるだろうから、それからじっくり見極めていってみれば?」
と言うと、ルイスはしっかりとうなずいた。
なのでこの話はこれで切り上げることになった。
帰りの馬車の中で、私はまた考えをめぐらせた。
もしホントにハリエットがユウヤだったりしたら…今世でも男が好きなルイスは、ハリエットを素直に受け入れて愛せるのかな?って。
ハリエットがもしホントにユウヤだったら、きっとルイスはハリエットをすごくすごく大切にして婚約を維持すると思うけど、前世で(多分)女っ気も男っ気もなかったユウヤがルイスと結ばれたとして…その先いったいどうなるんだろう?
前世ではハヤトとユウヤのリアルBLのカプ妄想して楽しんでたけど、男女になったらもう楽しめなくなりそうだよな~。
と、そこまで考えて私は考えるのをやめた。
なるようにしかならない。
あぁリオと二人で腐妄想語りたいなぁ!
これにて第1章終わり…です。次からは学園編スタートです~




