9-3 sideレイズ(マユ)
夏休みに入ってからほぼ毎日、私たちは王宮のサロンで勉強会をした。
ルードはお見合いのために時々参加しないことがあったけど、それでも週に三~四回ぐらいは顔を出していた。
ルードのいない間に、私たちはルードへのプレゼントを色々と考えてきたんだけど、読書家のルードにはやっぱり貴重な本とかがいいだろうってことで意見はまとまった。
アンリエッタと私は、現在では絶版になっている「王国の男色の歴史」がおすすめだったんだけど、ルイスから却下された。
「えー、ルードとシモンの将来に役立ちそうじゃーん?」
と私が言うとルイスは
「ルードが欲しがっていたのは”王国の栄光と失われた遺物”って絶版本だ。それは俺が手配している」
と、きっぱりと言った。
そして
「お前らの好きな本を贈りたいなら、お前らはお前らで小冊子でも作って渡せよ」
と呆れたように言った。
「…それ、いーじゃん!!」
私がぽんと手を打つと、ルイスは”しまった”という顔をした。
そうだ!手書きの…世界に一冊だけの本を作ればいいんだ!!
私はめっちゃやる気が起きてきた。
アンリエッタに早速伝えると、
「それは…名案ですわね…!」
とすぐに同意してくれた。
「もちろんルードとシモンが主役だよね?」
私が言うと
「もちろん!」
アンリエッタもそう言った。
「来年の学園祭に予定している小冊子の試作品…ということでよろしいかしら?」
アンリエッタが目をきらーんと光らせて言った。
「うんうん。あんまり時間もないから、要点はしっかり押さえつつ素早く作らないとね」
と私が言うと、
「そうですわね。せっかく学園祭でできた小冊子グループに、何もして頂かないというわけにはいきませんもの。来年の小冊子を作るためのベースとして私たちが手書き本を作って、来年の本番にはまた皆様とお話し合いをして完璧なものにいたしましょう」
アンリエッタはそう言ってくれた。
「さてと…じゃあ今年の学園祭での小冊子の内容を振り返ろうか」
と私。
「ルード様がルイス殿下に片思いをなさって、失恋なさって…そのルード様を陰からシモン様が見つめていらっしゃる…という内容でしたわね」
とアンリエッタ。
「ここで大事なのは、ルードが受だってことだよね」
「そうですわね」
ルイスが近くで耳をふさいでいる。
もう好きにしろってことだ。
「で、シモンとルードってことになると、シモンが受…かな?」
「そうなると、ルード様のリバということにはなりませんか?」
「うーん…僕はリバはあまり好きじゃないんだよねー」
「私もあまり好きじゃありませんけど…」
ルイス以外はみんな、私たちの会話に首をかしげている。
クラリアだけは横耳で聞いてるっぽいけど。
「ルードとシモンの年齢差は四歳だから、そこもネックっぽいよねー」
「あら、年下攻というのも捨てがたくはありません?」
「うーん…それに、ルードはルイスに対して自分が受になりたいってリアルで言ってたしねぇ…」
「シモン様が受を望まれるか攻を望まれるかも重要ですわね」
「シモンにも聞いてみた方がいいかな?」
「私はかわいらしいシモン様は受を望まれるかと思いますわ」
「えー?かわいい攻もアリじゃない?」
ルイスは耳ふさぎ状態、ゴードンとハリエットは疑問符だらけ、クラリアはちょっと興味ありそうな感じで横目でこっちを見ている。
…と、ルイスが小声で
「…ルードは王族を受にするのは望まないと思うぞ…」
と言った。
「…なるほどー!そーゆー感じなのかー!」
「なるほどですわね…!」
ルイスのアドバイス?で私たちのプレゼントは決まった。
ルードが受でシモンがかわいい年下攻の手書き本だ。
私たちは大急ぎでストーリーを考え、白紙の小冊子を作って丁寧に手書きをすることにした。
ルイス、サンキュー!!
腐女子コンビの会話が楽しすぎて楽しすぎて…w




