8-13 sideハリエット(ユウヤ)
殿下のお誘いに甘えて、クロス王国の王宮にしばらくご厄介になることになり、私は父王にその旨お手紙を差し上げることにしました。
クロス王国国王陛下からのお手紙と共にメッセンジャーに託しましたので、大丈夫でしょう。
ですがルイス殿下の母君…クロス王国王妃殿下が私にたいそうお気遣い下さって、逗留中のドレスやアクセサリーなどをご用意くださることになってしまいました。
そしてクロス王国国王陛下御用達の仕立て屋さんや宝飾店の方々をお呼びになることになりました。
とても申し訳なく思った私は王妃殿下に
「あの…私は必要最低限の着替えがあれば充分ですわ。ルイス殿下と共にいられれば、それだけで…」
と申し上げました。
すると王妃殿下は
「ルイスのことが好き?」
とお尋ねになられました。
なので私は正直に
「はい…お慕いしております」
とお答えしました。
王妃殿下は、
「ふふふっ…ならもう完全にうちの娘ね!!」
とお笑いになり、
「私、娘も欲しかったのよ!さあドレスを!アクセサリーを!」
と呼び出された仕立て屋さんと宝飾店の方々に申されました。
もう王妃殿下をお止めすることはできないだろうと私は観念いたしました…
王妃殿下は
「ルイスとハリエットちゃんの髪色と瞳の色に合う物を!」
と、業者の方々にお命じになられ、
「はっ!」
業者の方々はすぐに応じられました。
ドレスはさすがに今から仕立てては間に合わないので、仕立て屋さんは既製品をあれこれと持ってきて下さっていて、薄いピンクのドレスや淡い紫のドレスなど、たくさんのドレスが私の前に並べられました。
宝飾店の方も、若草色や薄紫色、金色の宝石のついたアクセサリーなどをたくさんお見せ下さいました。
「どれもいいわね…」
王妃殿下は悩ましいといったお顔をなさって、
「全部頂くわ!」
と、そう仰いました。
なので私は慌ててしまい、
「それはなりませんわ!」
と申し上げました。
「王族が身に着ける物は全て国民の血税であるので無駄遣いはしてはならない…と、父王から厳しく申し付けられております。ですので私たちは身に余る贅沢をしてはなりませんわ…」
失礼かとは思いましたが、私は王妃殿下にそう申し上げました。
すると王妃殿下はにっこりと微笑まれ、
「ハリエットちゃんはしっかり育てられてるのね」
と仰いました。
そして
「ごめんなさいね。王太子であるルイスの婚約者としてふさわしいお相手なのかどうか、ちょっと試させてもらったの」
王妃殿下は申し訳なさそうに仰いました。
王妃殿下は、私がどう出るのかをお試しになっていらっしゃったのです。
さすがはクロス王国の王妃殿下…と、私は舌を巻きました。
すると王妃殿下は、
「ルードの誕生日まで…というなら、ドレス五着ぐらいとアクセサリー五組ぐらいで足りるかしら?」
と笑って仰いました。
「十二分でございます。それでもまだ贅沢でございますわ」
と私が申し上げると、王妃殿下は
「よろしい。きちんとした経済観念をお持ちですわね」
と微笑まれました。
王妃殿下…未来のお姑様…怖いです…
「母上、あまりハリエットで遊ばないでください」
ルイス殿下が入って来られると、
「あら、遊んでたわけじゃないわよ。ハリエットちゃんがうちのお嫁さんとしてふさわしいかどうかを確かめてただけよ」
王妃殿下は、また笑って仰いました。
「…で?ハリエットは母上のお眼鏡にかないましたか?」
殿下がそうお尋ねになると王妃殿下は
「ええ、しっかりしたお嬢さんだわ」
と仰ってくださいました。
「ハリエット、すまない…母が失礼なことをしてしまって…」
殿下が申し訳なさそうに仰るので、
「いいえ、殿下の婚約者として当然のことですわ」
とお答えすると、殿下はほっとしたお顔をなさり、王妃殿下は
「いいお嬢さんだわ。逃がすんじゃないわよ、ルイス」
と仰いました。
クロス王国では、国王陛下より王妃殿下の方がお強いのでは?と私はそう思いました。
やっぱり王妃の話し方が普通のお母さんっぽくてイマイチかな…と思いつつ、直さずそのまま入力しましたw




