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王子になった俺と姫になったあいつ  作者: リュウ
第1章 前世での別れと今世での再会
11/12

11 sideハリエット(ユウヤ)

13歳になったある日、父上から

「クロス王国の第一王子との婚約話を進めることになった」

とのお話がありました。

前世でのゲームのストーリー通りに進むのだ…と、私は落ち着いてお話を伺うことが出来ました。

「年はお前と同じ13歳で、見目麗しく聡明で剣技にも秀でた素晴らしい王子との話だ」

と父上が仰ったので、

「素晴らしいお方なのですね。どうかよろしくお願い致します」

と、私はきちんと礼をして同意の意を示しました。

前世が男性だった私に、まともな結婚生活などできるわけもないとは思いましたが、ゲーム通りならば主人公の少女が現れ、王子と結ばれるはずなので、先のことは今は考えないことにしようと思いました。


そして、それからひと月ほど経ったころ、私はオットーバッハ王国からクロス王国に向けて、馬車で出発することになりました。

我が国よりやや南に位置するクロス王国の街道に入ると、店先にはオットーバッハ王国では見かけない野菜や果物が並び、人々は明るく幸せそうに暮らしているようでした。

私に前世がなく、本来のハリエット王女であれば、この国に嫁いでこの国のために生きることになったかもしれませんが、ゲーム通りならそれは叶わないでしょう。

そんなことを考えながら一週間ほどの旅を続けた末に、私はクロス王国の王都に到着しました。

衛兵や騎士、侍従やメイドなどたくさんの人々が王城で私をうやうやしく出迎えてくれました。

そしていよいよ、ルイス王子とお会いすることになりました。


簡単な挨拶から始まったルイス王子との会話は、彼の聡明さや優しさ、闊達さなどをうかがわせる内容で、本当に素晴らしい王子様なのだと感じました。

前世でのお友達も転生しているのではないかと心のどこかで期待していた私は、ルイス王子も転生してこられた方なのではないかと…そう思っていたのですが、ルイス王子は前世など感じさせない完璧な王子様でした。

この方は前世などない、ゲーム通りの方なのだろうと思うと、少し残念な気がしました。

ゲーム通りの方だとしたら、主人公の少女が現れれば彼女に恋をするのでしょう。

以前から決めていた通り、私はそうなっても彼女の邪魔をしたりはしません。

どうかお幸せに…と願って身を引くのみです。


身を引いた後、私はお友達を探そうと思っていたのですが、婚約破棄されて国に戻った場合、第一王女である私がどのような扱いを受けるのかも分かりません。

誰か他の…我が国の貴族の元に嫁ぐことになるのか、それとも婚約破棄などされてしまってはもう二度と婚約のお話など来ないものなのか…

もう二度と婚約のお話など来なければ良い、と私は思います。

そうすればこっそり平民のふりをして城下におりてお友達を探すこともできるのではと思うからです。

この世界は意外に狭く、あまりたくさんの国はありません。

我がオットーバッハ王国と、ルイス王子のクロス王国の二つが最も大きな国で、大陸をほぼ二分しているようなものだと学びました。

なのでひとつひとつの国は広くても、国境を越える際の面倒な手続きなどほとんどなくそれぞれの国を巡って、お友達探しの旅をすることができるのではないかと。


ただ、私が男性から女性に転生したように、マユやリオやハヤトもそれぞれ、前世とは違う性別に転生している可能性もありますので、皆を探すのは大変なことだと覚悟しています。

それでも私はお友達を探したいです。

この世界に転生してからずっと、父上や母上、兄上にはとても大切にして頂いてきましたので、それについては不満など全くありません。

ですが、前世があるがゆえに常に「自分の居場所はここではない」という思いが心の奥底にあり、ずっと孤独感を抱いて生きてきました。

前世での家族まで転生していてほしいなどと贅沢なことは申しません。

せめて…せめて仲の良かったお友達だけでも、共に転生していてくれれば、この孤独感は薄らぐのではないか…そう思っています。

いつか…きっといつか見つけます…マユ、リオ、そして誰よりハヤト…

大好きだったハヤトに、会いたいです…

 

ユウヤはもう完璧な淑女ですねwでももしかしてユウヤもハヤトのことを…?

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