8-4 sideレイズ(マユ)
ハリエットの特訓で、アンリエッタは淑女の礼をマスターし、いよいよ私の実家マッコール公爵家にラモー一家を招待することになった。
マッコール家が手配した貴族用の馬車でラモー一家はマッコール家にやってくる。
私は先に実家に戻り、侍従の手を借りて貴族令息らしい服装に着替えた。
メイドたちはサロンに花を飾り、お茶の支度をしてラモー一家を迎える準備を整えた。
そして侍従頭が
「失礼いたします。ラモー家の皆様がお越しになられました」
と父…マッコール公爵と私に伝えた。
「サロンにお通しせよ」
父に命じられ、侍従頭がラモー一家をサロンに案内した。
まずラモー夫妻が父に礼をして、
「本日はお招きいただき光栄に存じます」
と言い、夫妻の後ろに控えていたアンリエッタが
「お初にお目にかかります。アンリエッタ・ラモーにございます」
と、ハリエットに叩き込まれた完璧な礼をした。
襟の詰まった淡いピンクのドレスは派手すぎず、アンリエッタに良く似合っていた。
かわいいなぁと思っていると、
「ようこそおいで下さった。私がマッコール公爵家当主ロラン・マッコールである」
と父が言った。
ラモー夫妻、ちょっとびびってる…
父がまず席に着き、私も席に着くと、侍従たちがアンリエッタたちを向かいのソファに座らせて、話を始めることになった。
「当家の次男レイズが、アンリエッタ・ラモー嬢との婚約を望んだため、まずは顔合わせをしなければならぬということになり、貴家ご一家にお越し願った」
父がそう言うと、
「はっ…はい…もったいないお話でございます…」
アンリエッタのお父さんが、びくつきながら言った。
父は委細構わず話を続けた。
「レイズには他に伯爵家との話もあったのだが、レイズ自身がどうしてもアンリエッタ嬢と婚約したいと申してな…」
「えぇ…っ?!」
「そ、そのようなお話が…?!」
ラモー夫妻は本当に驚いていた。
当然だろう、話してないもん。
「あろうことか、アンリエッタ嬢との仲が許されぬなら、平民になってラモー家の婿養子になるとまで言い出してな…」
父がため息をつきながらそう言うと、ラモー夫妻は凍りついた。
そして震えはじめたラモー夫妻を見て、
「だが、ルイス殿下が、二人の仲を認めるようにと申されたのだ」
と、厳しかった顔を少し緩めて、父はそう言った。
するとラモー夫妻は
「ルイス殿下が…さようでございますか…」
「…我が家にもおいでになられましたわ…」
と、ルイスがアンリエッタんちに行った時のことを思い出しているかのような顔をして言った。
それを聞いて父は
「そうか…お互い大変だったな…」
と苦笑いをした。
父の笑顔に、ラモー夫妻もアンリエッタも緊張が解けたようだ。
「ルイス殿下は本当に…レイズのためなら…親友のためなら、なりふり構わぬとんでもないお方だな」
父がまた笑うと、
「さようでございますな…」
と、アンリエッタのお父さんも笑った。
アンリエッタのお母さんもアンリエッタも、ほっとした様子で微笑んでいた。
すると父…マッコール公は言った。
「殿下のお心を煩わせてしまった分、マッコール家とラモー家の婚約は滞りなく進めなければならぬ。よろしいか?」
「はっ…!!」
ラモー夫妻はそう返し、
「本当に…本当にありがとうございます…!」
アンリエッタは頭を下げて父にそう言った。
こうしてアンリエッタと私の婚約は決定し、世間にも公表することになった。
これで本当に、アンリエッタはレイズルートをクリアしたってことになるんだ。
あとは二人で幸せに暮らしていけば、待望のハッピーエンドの完成だ。
私はうれしくってバンザイしそうになったけど、父がいるのでそれは我慢しておいた。
いつの間にか百話を越えてました…ちょっと感動ですw




