8-2 sideレイズ(マユ)
えっ…?!
つまりアンリエッタのお父さんとお母さんは、私たちに子作りしろって言ってんの…?!
ちょっ…私たちは子供なんて作らないで、二人仲良く腐妄想を楽しみながら一生幸せに暮らすって決めてんだよ?!
私はアンリエッタ…リオのこと大好きだけど、親友と子作りなんて考えられないよ…
私が呆然としていると、
「…それを確約しなければ、レイズとアンリエッタとの婚約は認めない…と、そういうことか?」
ルイスが少し厳しい顔をしてそう言った。
するとアンリエッタのお父さんは
「いっいいいえ!!そそそそのようなわけではっ…」
と大慌てで言った。
「私の両親は結婚してからもなかなか子が出来ず、後から結婚したマッコール公と母の妹の方に先に子が…レイズの兄が生まれたのだ。いかに睦まじい夫婦であっても、子ができるとは限らん。それは理解しておいてほしい」
とルイスが言った。
そういえばそうだ。
マッコール家は王家より先に私の二つ上の兄が生まれて、その後王家にルイスが、マッコール家に私が生まれたんだ。
やっぱりルイスはうまいこと考えて言ってくれるわ~。
…しばらくルイスに任せよう。
アンリエッタの両親は
「そ…それは…」
「それは…致し方ないことでございますわね…」
と言うしかないようだった。
するとルイスは、
「ラモー商会の使用人の中に、商会を任せられるような者はいないのか?」
とアンリエッタのお父さんに向かって聞いた。
アンリエッタのお父さんは、
「は…はい…今の所それほどの者はおりません…」
と申し訳なさそうに答えた。
ルイスは少し考えた後、
「ラモーご夫妻の年齢は?」
と尋ねた。
アンリエッタのお父さんは、ルイスの質問の意図がわからないみたいで
「はっ…私が35歳、妻が31歳でございますが…」
と困惑した様子でそう言った。
それに対するルイスの言葉は、予想外と言う他なかった。
「ならばご夫妻でもう一人子を作るが良い」
アンリエッタの両親は、あっけにとられて
「もう…ひとり…でございますか…?」
と言った。
ルイスはうなずいて、
「そうだ。両親共にもっと老いていれば無理かもしれないが、その程度の年齢ならまだまだ若いと言って良いので、子を作るのに問題はなんらないだろう」
そう答えた。
そのルイスの言葉を受けて、今まで黙っていたアンリエッタが
「そうよ!お父さんもお母さんもまだ若いんだから、もうひとりぐらい大丈夫よ!」
と手を合わせて笑って言った。
ラモー夫妻はアンリエッタを見た後、お互いに顔を見合わせた。
そして
「それは…」
「そうですわね…可能性はありますわね…」
と言った。
「私は三歳のころ、母に”弟か妹がほしい”とねだった結果、弟を得ることが出来た。どうだ?アンリエッタ、弟か妹が欲しくはないか?」
ルイスの言葉に
「…欲しいですわ…っ!!」
アンリエッタはにっこりと笑って答えた。
ラモー夫妻はこれで完全に降伏したらしく、
「そうか…アンリエッタも兄弟が欲しかったのか…」
「そんなこと、考えたこともなかったわ…」
と、すまなそうにアンリエッタの方を見て言った。
「…では、レイズとアンリエッタの話をマッコール公に持って行って良いな?」
ルイスが言うと、ラモー夫妻は頭を下げた。
「はっ…仰せのままに…!」
ルイス、ありがとー!!と叫びたいのを、私は必死で抑えて、ルイスと一緒にラモー家を後にした。
よっしゃ!
これで私たちの未来の幸せな人生を送る計画、守られたぞー!!
やっぱりレイズ視点は書いてて楽しいですね~。ルイス視点のツッコミも楽しいですがw




