第9章:復讐の完成
カイルの裏切りが公になったことで、王都は混乱の渦中にあった。しかし、僕は立ち止まらなかった。魔王軍の猛攻を食い止めるため、そして、カイルへの復讐を果たすため、僕は前進し続けた。
ついに、王都の広場で、カイルとミリアが、魔王軍の先導役として姿を現した。彼らの背後には、おびただしい数の魔王軍兵士が控えている。
「佐久間! 貴様をここで、八つ裂きにしてやる!」
カイルは憎悪に満ちた目で僕を睨みつけ、聖剣を構えた。しかし、その聖剣からは、もはや神聖な光ではなく、不吉な闇のオーラが立ち上っていた。
僕は一歩前に出た。そして、カイルの聖剣の「攻撃力」を「0」に改変した。
「なっ……何をした!?」
カイルは驚愕の声を上げた。彼が聖剣を振るうが、その剣は、まるでただの鉄の棒のように、何の威力も持たない。
「まさか……貴様の能力は、そこまで……!?」
ミリアが僕に強力な魔法を放ってきた。僕は彼女の「魔力」を「0」に改変した。ミリアの魔力が尽き、魔法陣は虚しく消滅した。
「うそ……私の魔力が、出ない……!?」
ミリアは愕然としてその場に倒れ込んだ。二人は、完全に無力化されたのだ。
僕は無力化したカイルの前に立ち、彼の首筋に剣を突きつけた。
「カイル。覚えているか? お前は僕に言ったな。『お前みたいな無能は必要ない。そこで野垂れ死ね』と」
カイルは顔を歪ませ、僕を睨みつけた。
「あの時は、僕もお前たちと同じように、自分の力に絶望していた。だが、僕は諦めなかった。そして、ここまでたどり着いた。お前は、僕を裏切り、見下し、そして利用した。今、その報いを受ける時だ」
僕は大声で、カイルが魔王軍と内通していた事実を、集まった民衆の前で暴露した。人々は、勇者の裏切りに騒然とし、やがて、カイルへの罵声が飛び交い始めた。
「嘘だ……! この私が……こんなところで……!」
カイルは絶叫し、その場に崩れ落ちた。彼の社会的地位は、完全に失墜したのだ。
リリアが、僕に駆け寄ってきた。
「佐久間さん、カイルを……どうか、これ以上は……」
リリアは、カイルに最後の慈悲をかけようとしていた。だが、僕はそれを許さなかった。
「彼が選んだ道だ。これは、彼自身の業だよ」
僕は冷たく突き放した。僕の復讐は、今、ここに完成した。僕の心は、爽快感に満たされ、同時に、空虚な感覚に包まれていた。