第7章:能力の限界と成長
勇者パーティーとの再戦後、僕はさらに強さを求めた。しかし、魔王軍の幹部クラスとの戦闘で、僕は能力の限界に直面することになる。
王都の近くで、魔王軍の強力な将軍が姿を現した。その将軍は、これまでの魔物とは比べ物にならないほどの力を持ち、僕の改変能力をもってしても、すぐに効果が切れてしまう。
「くそっ……! 魔力消費が激しすぎる!」
将軍の攻撃を避けながら、僕は焦っていた。いくら自分の魔力回復速度を改変しても、この強力な将軍の能力を改変し続けるには、膨大な魔力が必要だった。
その時、バルドの言葉が脳裏をよぎった。「能力は使い手の心次第で化ける」。僕は、自分の心の弱さが、魔力の限界を生んでいるのではないか、と直感した。
転生前の過労死のトラウマ。誰にも認められなかった孤独感。それらが、僕の心の奥底に澱のように溜まっていた。僕は、まだどこかで、誰かに認めてほしいと願っている自分がいることに気づいた。それが、僕の力を制限しているのだ。
「もう、誰にも認められなくていい。僕は、僕のために戦う!」
僕は目を閉じ、心の奥底に潜むトラウマと向き合った。過去の僕を否定し、そして、受け入れる。僕は、もう弱い自分じゃない。そう強く願った瞬間、僕の体から、再び力が溢れ出す感覚がした。
その時、将軍の強力な一撃が僕に迫る。僕は避けきれないと覚悟した。だが、その一撃は、僕の目の前で止められた。
「佐久間さん! 貴方は、こんなところで終わる人じゃないわ!」
そこにいたのは、リリアだった。彼女は僕の前に立ち塞がり、聖なる光で将軍の攻撃を防いでいた。
「リリア……なぜ?」
「貴方には、この世界を救う力がある。だから、私は貴方を信じるわ!」
彼女の真摯な態度に、僕の心は大きく揺れた。彼女は僕を裏切ったはずなのに、今、僕のために命を賭けている。僕は、この瞬間、リリアを信じてもいいのかもしれない、と思った。
「ありがとう、リリア。共闘しよう!」
僕は彼女にそう告げ、改めて自分の「精神力」を改変した。精神的な壁が取り払われたことで、僕の魔力上限は大きく突破された。
僕は再び将軍に立ち向かう。将軍の「耐久力」を「0」に改変し、リリアの聖なる光と僕の剣の連続攻撃で、ついに将軍を打ち倒した。
将軍を倒し終えた後、僕はリリアに深々と頭を下げた。
「助けてくれて、ありがとう。君がいなければ、僕は今頃、死んでいたかもしれない」
リリアは優しく微笑んだ。
「貴方も、私を助けてくれたでしょう? 私たちは、もう仲間よ」
僕とリリアの間に、少しずつだが、信頼が回復していく兆しが見えた。僕の内面的な成長が、能力のさらなる覚醒と、信頼の再構築の第一歩となったのだ。