表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/12

第10章:魔王との対峙

 カイルとミリアを打ち破った僕たちは、ついに魔王ザルガノスとの最終決戦へと向かった。魔王城の深い闇の中、僕たちはザルガノスの玉座の間にたどり着いた。

 そこにいたのは、威圧的なオーラを放つ、巨大な魔王ザルガノスだった。彼は僕たちを睥睨し、不気味な笑みを浮かべた。

「よくぞここまで来た、人間よ。だが、無駄な抵抗だ。この世界は、もうすぐ闇に包まれる」

 僕はザルガノスに剣を構えた。

「なぜ、世界を滅ぼそうとする!?」

 ザルガノスは、ゆっくりと口を開いた。

「なぜ、だと? 愚かな人間よ。この闇は、お前たち人間が自ら生み出したものだ。欲望、憎悪、嫉妬……。お前たちの負の感情が、私を肥え太らせた。カイルの裏切りも、貴様たち人間が持つ『力への欲望』が生み出したものだ」

 ザルガノスの言葉に、僕は言葉を失った。カイルの裏切りも、この魔王の策略の一部だったというのか。人間の欲望が、魔王を生み出し、育てたというのか。

 激しい戦いが始まった。ザルガノスの放つ闇の波動は、僕の改変能力を一時的に無効化するほどの威力を持っていた。

「ぐっ……! こんな強大な魔力、初めてだ……!」

 僕は全魔力を注ぎ込み、ザルガノスの「存在確率」を改変しようと試みた。だが、それはあまりにも困難だった。ザルガノスの存在は、この世界の負の感情と深く結びついており、完全に消滅させるには、途方もない魔力が必要だった。

「佐久間さん! 皆の魔力を、貴方に!」

 リリアが叫んだ。彼女は聖なる光を放ち、僕に魔力を送ってくる。バルドも、冒険者たちも、それぞれの魔力を僕に集中させてくれた。

 仲間たちの魔力が、僕の体の中に流れ込んでくる。それは、かつて感じた孤独とは真逆の、温かい繋がりだった。僕はもう一人じゃない。

「みんな、ありがとう……!」

 僕は再び、ザルガノスの「存在確率」を改変する。全身の魔力を、その一撃に込める。ザルガノスの体が、ゆっくりと、しかし確実に、光の粒子となって崩れていく。

「まさか……人間が……ここまでとは……」

 ザルガノスは、苦悶の声を上げながら、それでも僕を見つめ、静かに告げた。

「佐久間蓮司……君は、欲望に飲まれない人間だ……。この世界の、新たな希望となるだろう……」

 そして、彼は完全に消滅した。魔王ザルガノスは、最期に僕を認めてくれた。それは、僕が最も欲していた言葉だったのかもしれない。僕の復讐と正義の境界線は、ザルガノスとの対決によって、はっきりと見えた気がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ