大魔法使いは残念な人〜寝てるからコレ寝言なんだよね?〜
なろうラジオ大賞ように「転生したらグレーテル」の番外編を書いてみました。
本編は完結していますので、興味のある方はそちらも読んでいただけると嬉しいです。
‘我は居候...名はござらん。’
なんて前世の記憶で遊んでいる場合じゃない。わたしの名前はちゃんとある...はず...なんだけどわからない。数か月前に森の中で目を覚まして、近くにいた兄らしき人と記憶をもとにお菓子の家にたどりついた。我、名をグレーテルと申す。ってまた遊んじゃったよ。現状を要約すると、記憶がないまま森で目覚めて、物語の中に転生してるって気づいた私は超絶イケメンの兄とお菓子の家を探してそこで魔女のゲルダに出会った。その記憶と違っていたのは、このゲルダという魔女は実は元筆頭宮廷魔導士で実は大魔法使いだったってこと。
「お師匠様、風邪ひきますよ。起きてください。それか、ちゃんとベットに行って。」
そうそう、わたしがどうしてこの人をお師匠様って呼んでいるかというと、これまた単純明快。私たちが魔法を教わっているから。そう、なんとゲルダは私と兄の魔術の先生なの。
「グレーテル、ただいま。今日は猪が狩れたよ。」
狩りに行っていたヘンゼルが帰ってきた。ただの居候にはなりたくなくて私たちは共同生活を始めた。魔法以外に壊滅的に何もできないお師匠様の代わりに私が家事全般、ヘンゼルは自給自足を目指して食糧確保を担当、魔道具開発が大好きなお師匠様は、私の前世の記憶をもとに道具を開発してくれて生活水準爆上がり。そして現在、なかなか快適な共同生活実施中。
「今夜はぼたん鍋ね。」
前世の記憶のおかげでレシピもすぐ検索できちゃうから野生の動物だってごちそうになっちゃうの。もうこれチートよね。
「ボタン?」
コテンと首を倒した仕草がなんてまぶしいの。その顔ズルイ。兄なのに、兄だけど、兄だから...ってまたわけわかんない兄の三段活用してしまうじゃないですかっ!そのイケメン姿にドキドキするのは間違ってるんだから、ダメだよ自分。落ち着け!
「猪のお肉でスープにするの。」
「肉!肉だぁ~!ボタンは食べないゾ!」
「だから、ボタンじゃないのっ。」
夕食に文句を言ったお師匠様に怒ったら、積み上げられた本の中でまだ寝ている。あれ寝言だ。この人、ホントに一人でどう生きてたんだか。魔法以外はてんでダメ。整理整頓できないし、料理は焦がす、片づけなんて言葉さえ知らないんじゃないかな。
「こらっ!起きろ~。ボタン食べさすぞ!」
「えっ?ヤダ。」って寝言で返事すなっ!
でも私、この残念な魔法使いとの生活、案外気に入っているのよね。
やっぱり1000字は短いですね。
ゲルダのヘッポコぶりを書きたかったのですが、共同生活の一場面になっちゃいましたかね。
私は結構、このヘッポコ師匠様が好きです。
人間はひとりでは生きていけないから、欠点を補い合って生きているんですよね。
本編はコチラから↓
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