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雪星の獣  作者: 廻符
3/4

過去と神獣、雪の地平線 二部 〜神獣と地球〜

「お前から真面目という単語が出たのを人生で初めて聞いた。」

 皮肉調に行ってやったが、彼の笑顔は消えない。

「と言いながらも座って話を聞こうとしてることに言い訳はあるかな?」

「ない。興味があっただけだ」

「へぇ。めっずらしいねぇ。」

「は?」

「君が僕の話に乗るの、あの日以来はじめてだよ」

 乗ると決めたわけじゃない。とは言わなかった。

実際最近何もすべきことがなくて暇していたので、暇つぶし程度に聞いてやろうと思っただけだ。

実際ここで人間関係に歪みを作っておくのは得策じゃない。

こいつは使いにくいが協力すると確実にリターンがくる。ある意味では便利な男だ。

その便利なやつが、「真面目」という史上初の単語を出してきたのだ。気にならないわけがない。

「さて、意外と時間がないし、早速本題に入るよ。」

「時間がないという割に無駄話が多いのはどういうことだよ。」

「無意識の間に口が回るんだよね。」

「気持ちわる。」

 流石に眉間に皺でも寄るかと思っていたが、反応は一切なかった。

「これは命令だ。」

 眉間に皺が寄ったのはこちらが先だった。

「は?命令?」 

「雪星の獣を殺せ」

ついに彼は脳味噌が壊死してしまったのだろうか。

雪星の獣を殺せ?

聖獣を人の武器で殺す殺すことはできない。

不可能に挑んで死ぬのは嫌だ。

もし殺せるとしたら?

そうだ。こいつが殺せる確証のない状態で私にそんな命令をするはずがない。

「何か殺せる手があるのか。」

「僕が殺せないモノを殺せと命令するほど馬鹿だと思ったのかい?」

「思った」

「いやひどいな。僕だって常識くらいはあるさ。」

ねぇだろ。と非常に言いたい。

常識のあるやつが雪星の獣を殺そうとするか。

「で?方法は。」

「まぁ待ちなよ。冷静に考えたら今の雪星の獣を殺すのは難しい。」

「おい、三〇秒前に殺せるって言ったよな」

「だから待ちなって。言っただろう?今の雪星の獣は殺すのが難しいよ」

「今の?」

 過去ならどうだろう。

彼は確実にそう言った。

過去なら、というのはどういう意味だろうか。

まず、過去ってどういうことだ。

もし仮に過去に戻れたとしてどうするんだ。

雪星の獣の推定年齢は二〇億歳と言われている。

私に二十億年前に戻れと?

「ふざけるのも大概にしろよ。」

と言ってみたものの、言葉で表せない何か自分を突き動かす衝動を

私は感じている。

「あの化け物はね、地球で生まれたんだ。」

意味がわからない。本当に。

でも私は何故かこの話に少し興味を持ち始めていた。

私はこの話に乗りたいと思っているようだ。

「地球で生まれたって言う確証は?」

「ある」

私は少し口角を上げつつ言った。

「乗った。」

「交渉成立だね」

彼は先ほどよりも口角を上げて言った。

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