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王国防衛戦

「やられてるって?一体どういうこと!?」


 ゲルシスが俺の言葉に驚く。そっか、会議に参加してなかったもんな。


「えっと、会議の内容を簡単に説明すると、アイビス国は私たちに同盟解除の申請をしてきたのよ。自主的に植民地化されますって言ってたけど、こりゃもう何かしらやられてるわね。」


「植民地化ですか?あの軍国が……」


「ええ、そうなのよ。救援要請が来てから一日も経ってないのに、一体どうして植民地化に踏み切ったわけ……」


「私もエルナ様が会議中に街を見回ったのですが、特に負傷兵や戦闘跡はありませんでした。特に大きな打撃がないのに植民地化っていう降伏をするのは不自然です。」


「合意だわ。街の人に話は聞いてみた?」


「聞こうとしたんですけど、みんなだんまりですよ。」


「こりゃあ困ったわね……」


 とりあえず、一度本国に戻って高野とかに相談してからどう処理すればいいか考えるだな。


「とりあえず、一度戻りましょう。できるだけ内密にしておいてくれるかしら?」


「もちろんです。民を心配させたくないですもんね。」


「そうね。じゃあ軍も申し訳ないけど撤退させようかしら。」


「了解しました。今転移陣を開きます。」


 ゲルシスが呪文を唱えると、巨大な魔法陣が地面に浮かび上がる。魔法陣内へと移動し、ゲルシスを隣に据えて転移をすると、そこには馴染みのある王都の景色が広がっていた。


 でも、何かおかしいな。


 真昼なのに外には誰もいないし、家の窓も完全に閉まった状態だ。


 何か、物凄く悪い予感がする。


「ゲルシス、軍の移転は任せたわ。ちょっと不味そうだから王城へと先に行ってるわ。」


「エルナ様、しかしそれでは護衛が……」


「大丈夫だから。ではお先に。」


 王城にはフランシスと高野が常に居るはずだ。あの二人から何があったのかを説明してもらおう。


 心配するゲルシスを他所に、俺は足を走らせる。何が起きているんだ。避難訓練?何かの集会?


 事前にそういう報告もなかったし、可能性は随分低そうだ。なら一体何が……


「高野!」


 王室のドアを開けて叫んだ。


「先輩!遅いですよ!今大変なんですから!」


 王室に居たのは高野だけではなく、真剣な顔をしたアレクサンダーだった。


「アレクサンダー?一体何が起こってるのよ!」


 って、アレクサンダーが居るのに高野を本名で呼んじゃった。はぐらかさないとなーと内心思っていたけれども、アレクサンダーの様子を見ていると、それどころではないみたいだ。


「エルナ様、ピスタチオ王国が包囲されました。」


「包囲?誰に?」


「アイビス国とキリア国の同盟軍だそうです。」


「でも、いつの間ー『ちゅうもーく!』」


『ッー?』


 頭の中に念話が響く。どうやら高野やアレクサンダーにも聞こえてるようで、不思議そうにキョロキョロしている。


『私の名前はぁ、千春でーす!ピスタチオ王国を攻め落としに参りましたぁ!』


 千春?日本人の名前っぽいけど……一体どういうことだ?


『降伏したら許してあげるけどーどうする?エルナさまー?』


 アレクサンダーがどうするのだと言わんばかりの顔でこちらを見つめる。


「民は?」


「避難してあります。」


「相手には勝てるかしら?」


「ええ、もちろんです。」


「なら答えは一択よ……徹底的に戦うわ。」


 ピスタチオ王国防衛戦が幕を開けるのだった。


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