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第二話 現実

 え~どうも、神永織也です。

 今私の目前で繰り広げられているのは何でしょうか。そう、剣を握りしめた男二人が鍔迫り合いしている状況です。まじか。ホントにファンタジー世界みたいなことになってんな。


「たかがC級冒険者ごときの雑魚が俺に歯向かってんじゃねぇ!!」

「てめぇ、ランク一つしか変わんねえじゃねえか!!」

「うるせえ!!俺はな!!もうちょっとでA級なんだよ!!C級の底辺は黙ってろ!!

「あぁ!?んだとゴラァ!!」


 すごい、お互いに罵詈雑言を浴びせ合っている。にしてもそれらしい言葉が出てきた。冒険者か~。もしかしたら、ダンジョンみたいなものとかあるのだろうか。あと、ステータスとかレベルとか。


 次の瞬間、マウントをとっていた赤髪の男の姿が消えた。そして、茶髪の男の後ろに現れた。茶髪の男もすかさず反応する。


「おいおい、攻撃が軽いぜぇ~?こんなのでB級なれんのかよ。もうちょい体鍛えな、ねずみ男!!」

「てめえ!!ぶっ殺す!!」


 もっとスピードが速くなり、目で追えないほどになった。だが、茶髪の方もまだ反応する。なんか、見てるこっちまで燃えてきたわ。


 「これで終わりだぁっ!!」


 またもや、茶髪の背後に赤髪が現れた。たが、先ほどまでとは比べものならないほどの速さだった。


「オラァ!!!」


 衝撃で土煙が舞い、こちらの方へも突風が吹いた。おいおい、砂が目に入ったぜ。痛ぇ。


 そして、最後に立っていたのは……。おぉ、これは驚き。なんと、茶髪の方だった。


「後ろから来ると思ったよ。もうちょい工夫しろよ、お馬鹿さん。」


 うわ、最後まで煽ってるよ。こわすぎだろこの業界。気をつけよ。まあ、まだ入れるかすら分からないけど。


 「勝者、C級冒険者、横野高志郎!!」


 歓声が上がった。すごい盛り上がりだ。


 なんというか、実感した。もうここは、俺の憧れだった剣と魔法がある、ファンタジー世界なんだと。





 あれから、あの場を去り、何をしようか迷った末に食事をとろうということになった。だが、ここで問題発生。


 金 が な い


 これ以上無いほど絶望に打ちひしがれながら、ポケットに手を突っ込んで……


「ん?なんかある」


 気づいた。そこには二つ折りにされた紙切れと五百円玉。おいおい、さっきまで無かっただろう急になんなんだ。怖すぎる。


 とりあえず近くのコンビニそそくさと入り、水とおにぎりを確保。コンビニにも感謝。


 さっさと食べ、次の目的地に向かった。


 30分ほど歩き、その場所に着いた。そこは図書館だった。コンビニで見つけた地図にかいてあったのでなんとか到着できた。


 ちなみに俺が気がついた場所は渋谷のスクランブル交差点からほど遠くないあたりだった。


 で、気になったことが何個かあった。

 知らない建物と変わった風景だ。地図で探していた時に「剣ギルド本部」というでかい建物があった。どうやら「つるぎ」と読むらしい。さっきの冒険者の戦いを見てから、ギルドとかあるのではと思い、ウキウキしていたが見事的中らしい。

変わった風景というのは、スクランブル交差点を横断した時に周りの広告がホログラムのような近未来的な感じになっていたのでびっくりした。ハチ公もなんかホログラムみたいな感じだったし。


 なんだかんだあって、図書館に着いたのでとりあえず、「ダンジョン」のところから目星をつけ何個か持ってった。


 そして……


「なん、だと……」


 いろいろびっくりした。どうやらここはダンジョンが現れた、ファンタジー世界の日本らしい。

まあ、それはわかりきっていた。今までに目にしたものからなんとなく分からせられる。


 だが、違う。そこじゃない。問題は時代だ。

 なんと今は、2060年らしい。そして、ある疑問が浮かぶ。


「家族は?家は?今どうなった?」


 俺の住んでいた住所を調べてみる。しかし、今はなんとコンビニになっていた。家族への連絡手段も無い。先ほどまでとは比べものにならないほどの絶望に暮れた。


 母さん……父さん……有栖……


 心配だし、不安だ。悲しいが俺も家の無い状態だし、金もない。正直、この現実を突きつけられ心が折れそうだ。だが、このまま、ただでくたばる訳にはいかない。


 絶対に生き残る、そう心に決めた。

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