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異世界転生ワイヤレス転生  作者: 名無しのジンベエ
第二章:マーズ脱獄編
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アキの飽くなき美食探求【水牛モッツァレラ&リコッタとサーモン】~湯の花炙りのイメージで~

温泉の美学、この火山都市マーズに太古から受け継がれる文化、荒々しく聳えるグレースケール達から生まれる癒し、荒波の中の真珠、サンドイッチの中の薔薇。


私は温泉を堪能した後、熱を籠した体を動かし、温泉街を歩いていた。

重々しく感じていた、マーズの赤く染まった空さえも、今は美しさを見出だせるほど、己の血がこの空のあかに染まっていた。


そして私は、この町の美食に何よりも惹かれる。


今、私が頂いている【水牛すいぎゅうモッツァレラ&リコッタとサーモン はなあぶりのイメージで】

この皿は特に素晴らしい。

サーモンとモッツァレラとリコッタの表面が炙られ、それぞれが花のように皿に三輪盛り付けられており、その周りにオリーブオイルで模様が彩られている。


その皿には作り手の技量とこだわりが確実に詰まっている。

そう確信させる物があった。


一見カプレーゼやカルパッチョのように見えるが、そのどちらでもあるように見え、どちらでもないかのように感じる。


モッツァレラとリコッタ。

この二種類のチーズをそれぞれサーモンと共に楽しむらしい。

いわば食べ比べのようなものだ。

モッツァレラと共にサーモンを頂くと、口の中で溶ける濃厚でいて後味は爽やかなモッツァレラ、あっさりしながらもしっかりした味のサーモン、そしてそこにあるはずの無い食感を感じる。

岩塩だ!岩塩の歯応えと濃い塩味が、モッツァレラとサーモンの旨味を後押ししている!

そしてオリーブオイルの調律した芳醇な香りが身体中を吹き抜ける。


次はリコッタと共に頂く、口当たりの良いリコッタの軽く優しい甘味の近くに何故か果物の風味を知覚する。

しかしリコッタ単体から感じる風味では無い。

それなのにモッツァレラの時は感じなかった果物の甘味を奥から感じるのだ。


―――店員に聞くと、このサーモンが移動する長い川の側には、様々な種類の果物が生えていて、それが落ちた川で食事をするため、このような味になるという。


サーモンの風味はあえてモッツァレラの濃厚さで隠されていたのだ!

先にモッツァレラと食べて良かった、そう心の中で呟き、食べる手を進める。

モッツァレラとはまた違う濃厚さのリコッタ、甘味を際立たせてくれる岩塩、風味を更に強くさせるオリーブオイル。

さっき出会った食材達がチーズを変えただけで別人かのように新しい一面を見せる。


この朝昼晩、春夏秋冬の変化に乏しいように見えるこの都市の空も、食べ終わった頃には違うあかに変わっていた。


この感動を味わえないカスミにこの手記を残す。

これを見ながら助けに向かう私をもう少し待ってくれるとありがたい。


そんな最後の文章を見てカスミを打っていた舌鼓は思い出したかのように動きだし、今にもちぎれそうな言葉を繋いだ。


「悠長に風入って飯食べるなァ!!!!!!!!」

俺は水無しで無駄に大きいパンをもしゃつきながら、あのゲーミング血液への怒りをぶつける先も見つからず、泣いた後に寝た。

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インターネットやめないで…
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