雫たちの遊びかた
恵みでもあるが、うっとうしくもある雨の雫――。
ただただ空から落下し地に着地するなり、同胞たちとくっついたり離れたりを繰り返しながら、どこかへと消え去っていく――。
だが、一部の雫は……着地する前に、さまざまな遊びをしているんです。
※ ※ ※
ころんっと到着した先は、緑のじゅうたんの上。
うまい具合に安定した場所に着地できた。
さて、周りの景色でもゆっくり眺め……わわっ!
わ~っ!
いたずら好きの風によって、別の場所へと移された。
※ ※ ※
白、青、紫、赤……。
色とりどりの萼の上に到着したら、恥じらうようにうつむきかけたので、必死にしがみつく。
そのまま、そのまま……あれれ。
同胞がこっちに向かってやってきた。
ぷるんっと一緒になって、ダイブする。
※ ※ ※
……キンッ……ポォ~ンッ……
固い小石の上に着地をすれば、幽かな音が聞こえてきた。
同胞たちとくっついたり離れたりしながら、小石や砂利のすき間を縫って音の源へと向かっていく。
ようやく入口にたどり着くと、いざ晴れ舞台へと飛びだした。
地面の下で澄んだ音を奏でるために……。
※ ※ ※
ぽた……ぽつ……。
今日も、あちらこちらで雫たちが到着し始めた。