4.伝説の金属やん?
「ゴートンに頼んでミルク分けて貰おうよ!すっごく美味しいんだよ?」
なーるほど?
ゴートンって人は牧場関係の仕事をしていて、その人に頼んでミルクを貰う。
そういうことかな?
「そんなに美味しいの?俺、飲んでみたいからゴートンさんの所に連れてってくれる?」
「うん!」
クラインは俺の足に擦り付いて了承した。
駄目だな、こりゃ。
名前が姿と行動に合ってない。
クーちゃんと呼ぼう。
「クラインのことクーちゃんって呼んでいい?」
「っ!うん、うん!クーちゃんって呼んで!!」
ヤバい。
エンジェルスマイルの後、ぴょんぴょんして喜んでる。可愛い。
天使か?天使だな。
「あ、ロノス~。何か器とか持ってる?ちゃんとしたやつ」
「持ってないよ。(ちゃんとしたやつ?)」
「じゃあ、先に器作って貰いに行こうよ」
「う、うん」
器を持参しないと貰えないのか?
…まぁ、そうだよな。分けて貰うんだから。
でも、ちゃんとしたやつとは?
天使の後を付いていって、変なところに来た。
いろんな決めポーズ?をしたスライムの像があちこちにある変な場所。
何個か触ったが、非常に冷たく硬い。
いったい誰が何を考えてこんなものを作ったのか。
ぺちぺち、ぺちぺちと触りながら付いていっている時、感触が変わった。
ぶにゅぅ、という擬音が付きそうな感触がし、見れば手が像に埋まっていた。
慌てて手を引っ込めると、像は元の形に戻る。
「……んぁ?誰か、僕に触った?」
今、像から声が聞こえた。
今まで寝ていた像は辺りを確認し起き出す。
これは像じゃない。本物のスライムだ。
「あ!そんな所に居たんだ。探したんだよ」
「クラインか。何しに来たの?」
「えっとね、えっとね!僕の事はクーちゃんって呼んで!ロノスが付けてくれた!それと、ゴートンにミルク分けて貰いたいからロノスに器作ってあげて!」
「ロノスってこの人?」
「うん!」
スライムは何かを考え始めて少しの間、静かになった。
「よし、ならロノス。僕を向かい側の台に移せたら作ってあげるよ」
「そんなので良いのか?動かすぞ?」
「でも、気を付ける事だ。何せ僕は……え?」
なんかまだ話してる途中だったが、移動させた。
手が埋まらないように、掬う感じでやったから問題なかった。
スライムはひんやりしてて気持ちよかった。
黄色と赤色が斑模様になっているスライムくん。水羊羹みたいに形がちゃんとあって瑞々しい。
スライムってアメーバみたいにビチャーって感じだと思ってたから新鮮だった。
「……うん、決めた。ロノス、まだ自己紹介してなかったね。僕の名前はスレイン・トロ・クラ……」
「僕がクーちゃんだから、スーちゃんだね!!!」
クーちゃん、人の話しには割り込まないって教わっ……この場合、人じゃないからいいのか?
「……はぁ、スーちゃんでいいよ。クラインは話を聞かないからね。進まなくなる」
あ、やっぱりそうなの?
話し聞かないで我道を行くタイプかなって思ってたんだよな。
可愛いから許すけど。
「ゴートンの所に行くんだよね?ロノス、肩に乗せてって。行きながら作るから」
「うん。……何で器を作るんだ?」
「あぁ、自己紹介カットされたから言ってなかったね。僕はヒヒイロスライム。体内で生成したヒヒイロカネで何でも作れるんだ」
クーちゃんの後を追いながら、スーちゃんに種族を言われた。
ヒヒイロカネ……まじ?
異世界は伝説で溢れてるのか?