1.β_妖精女王、運命の日
私は妖精女王。
私に完全な死は無く、妖精たちを導き続ける。
完全な死が無いとは、転生するからだ。
植物、虫、魚、人…何に転生しても成長すると妖精女王の肉体になる。
力も受け継ぐので限界がない。
だが、記憶は含まれていない。
転生すれば前世、前の自分がわからず、強い力を持つ故に権力者等といった、私を利用しようとする者達に捕まる事があった。
だから、私は記憶も引き継げるように新しい妖精術を作り、私を維持した。
神創造歴に成ってからは二回(初期の騒動時とそれから二百年後)、私を失っている。
術にはある程度準備が必要で、それが出来ていない状態で死ねば発動しない。
この世界は魑魅魍魎と表してもまだ足りないほど、イカれている。
妖精たちは強い種族ではない。
指導者が正しい方向に導かなければ簡単には絶滅してしまうだろう。
私は私を失うわけにはいかないのだ。
私は常に最善手を打つために妖精術で未来視が出来るようにした。
私の行動が直ぐに反映されるのでとても便利だ。間違えてもやり直せれる。
だが、最近はある未来に頭を抱えている。
私が死ぬ未来だ。
何をやっても私の死が覆らない。
まだ転生して十五年、記憶の継承が出来ない。
約二千年分の記憶が消えるのは痛手過ぎる。
だが、私では死の運命から逃れられない。
そんな日々を送っているある日。
旅の占い師がやって来た。
占い師は私が助かる術を知っているという。
胡散臭い。
でも、頼るしかないのだった。
それだけ追い込まれて疲れていた。
占い師はこの町から聖竜王国の聖都にある馬車に乗って移動しろという。
ある馬車は衝撃波無効という意味不明な付与がされている物だった。
私は言われた通りに意味不明な馬車で聖都に向かった。
向かう最中、何度も未来視を使ったが、死ぬ運命は変わっていなかった。
そして、私の死ぬ日が訪れた。
ありえない数の盗賊が現れて、襲撃してきた。
護衛を付けていたがあっさりと殺されて、ドアに手を掛けられた。
その瞬間まで死が見えていたが変わった。
激しい音と衝撃。
馬車は衝撃波無効が付いていたお陰で壊れていなかった。
私は死なない未来になったのを喜び、馬車から外に出ると。
辺り一面、血とミンチで真っ赤な海になっていた。
あまりにも凄惨で悪臭が身体中を駆け巡り、十五の身体は拒絶反応か嘔吐した。
胃の中身を全て出し、もうなにもないのに何度も何度も吐いて、はく気力が無くなると私は血の海で一言だけ言う。
「何なの…これ」
とりま、ここまで連続投稿。
明日か明後日に投稿を考えてる模様。