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平成三十一年十二月二十日 十八時四十分二秒

 『仄暗い明日』が来る。

 2020年に世界が滅びる。

 ノストラダムスの大予言じゃないけれど、ミサイルとか戦争とか東京オリンピックとか、社会制度の崩壊とか、異常気象とか大地震とか通り魔とか少子化とか高齢化とか――よっぽど世紀末よりも世紀末らしい。

 世界の終わりはほど近い。

 この世界はノスタルジーに侵略されてしまった。

 人々は過去の中に生きていて、それは雪に埋もれたこの街みたいだった。

 ぼんやりとした信号機の光が、風邪をひいたときの夢のように浮かんでいる。

 雪国の信号機は、雪を解かすために白熱灯を使い続けているのだと祖父が言っていた。

 古ぼけた街。

 駅前の寂れた商店街、時間が止まったみたいなショッピングモール、十五年くらい前の特撮ヒーローのソフビが未だに吊るしてある個人経営の玩具屋。

 和菓子屋と呉服屋と学習塾と中華料理屋。

 あとは、この街にはコンビニとドラッグストアくらいしかない。

 世界の終わりはほど近い。

 僕の隣で信号が変わるのを待っている少女は、今、何を考えているのだろう?

 雪は止まない。

 静かに降り積もっていく。

 「『ターミネーター2』って観たことある?」

 「あるよ。観たことないやつ居ないでしょ」

 「意外といるよ、観てない人」

 「マジでか」

 「あの映画の面白いところはさ、世界が平和なところだと思うんだよね」

 「平和かな」

 「平和だよ。バイクが盗まれて、トラックが事故って、でも、そんなの今と変わらないでしょ? この街だって、バイクが盗まれたりトラックが事故ったりくらいするよ」

 「まあ、結局、一人の人間が生きるか死ぬかの映画だしね」

 「平和な世界なんだよ。世界が滅びかけてるなんて誰も気づいてないの。喚き散らす狂人が世界の命運をかけて戦ってるなんて誰も想像もできないの」

 少女は続ける。


 私たちだってさ。

 みんな死んじゃって。

 終わった世界には、頭にアルミホイル巻いてる人達だけが残るかもしれないよ?

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