謙虚なナイトが異世界転生したら
「俺は異国ではベテランだったわけだが(威圧)」
「俺は異国ではベテランだったわけだが(威圧)」
俺は謙虚なナイト、プロント。先の発言どおりのベテランどころか、実は英雄級の冒険者なのだが、謙虚なナイトである俺は英雄待遇を期待したりはしない。この国ではまだ何もなしていないのだからな。
◇◇◇
ある日、目が覚めると元いた世界と似た、しかしまったく別の世界に転移していた。
手持ちの硬貨を貴金属として売りながら生活をしているが、稼ぐ手段がなければ硬貨もいつか底を突く。そんな訳で<黄金の鉄塊>を自称する鉄壁な俺が冒険者として活躍するためにギルドへと赴いたのだ。
しかし、この使えない受付嬢は、俺に新米のように薬草取りから始めろという。そして目ぼしい依頼があるCランクまで早くて1年、通常3年以上かかるらしい。
「しかし皆様、最初はFランクから始めて頂いてますので」
「前例はないのか?異国の英雄に薬草取りを1年もさせる気なのか?俺の寿命がストレスでマッハになるぞ」
「しかし貴方の実力を示す証拠がありませんので」
「お前は俺の強さを感じ取れないのか?リアルなら死んでいたぞ!?」
相手の譲歩が伺える。「新規はFランク」という前提から「実力が不明なのでFランク」と変わってきている。ならば俺の実力をカカっと見せ付ける事で解決だが、俺は心優しいので野蛮な事はしない。俺がもつ<大喰らいの剣>は7大罪の名を持つ暗黒剣だ。元の世界では神話に登場する武器だ、たとえ世界が変わろうともその力は健在だろう。これを受付嬢に見せようとする。
しかしそれは1つの罵声によって妨げられた。
「お前のような若造が英雄だと?与太話は他所でしな。邪魔だ。」
(中略)
馬鹿なやつだ。俺の強さを感じ取れる奴は長寿タイプなのだが、こいつはそうではない。ベテラン風な体躯のおっさんを一太刀で気絶させ、受付嬢を見る。
「Aランクにしろと言っているのではない、普通の冒険者であるCランクでいいと言っているのだ。」
こうしてギルド長との面談がかなった。
ギルド長は長寿タイプらしい。俺の戦闘能力については意義なく認め、野営・護衛・探索といった他の能力について確認できる依頼をこなしたのちCランク冒険者と認めることになった。
プロントさんの冒険をご期待ください!!