俺、終わり?
大変期間が空いてしまい申し訳ありませんでした。作者入院のため何も出来ずにいました。また頑張らせていただくので、ぜひ読んでいただけたらと思います。
すぐにそいつは見つかった。
体長はおよそ1mほど、見た目は犬のようなやつだった。しかし、何より目が行くのは、その牙だった。ククリ刀のように鋭く曲がり、噛まれたら確実に肉が引き裂かれる、そんな牙だった。
「まさか、こんなにはやく出くわすとは思いもしなかった…」
手持ちは灯りのついたランプのみ…詰んだか…。
「グルルル…グギャアオ!」
そいつは俺に向かって飛んできた。
「うぉっと…!ハァ…」
ぎりぎり左へ避けることが出来た。
「あの犬軽く10mは飛んだぞ…今のうちに距離をとr…」
だが、これまた運が悪いことに大きな木がありこれ以上逃げることが出来ない。
「登る、には無理そうだな…」
やつがこちらを向き飛ぶ準備をする。
「どうするどうするどうする、考えろ、考えろ俺!」
しかし、焦って何も考えられない。思いついてもこんな短時間では実行し成功する確率は低い、いや、不可能だ。
「グギャァオ!!」
来る、どうすればいい…俺氏の人生終わりか。
「チッ、せめて彼女くらい欲しかったな」
「ギャオォォン」
鈍い遠吠えしついに飛んだ。
「終わっ… ーシュルルルル…バシュッ
「キャォォォン」
甲高い声を出し魔物が地にひれ伏した。
「少年!こんな時間に何をしている!!」
少し離れたところに老けた男と見られる人が立っていた。どうやら、あそこから矢を放ち、この目の前で墜ちた犬を射たようだ。
男が近づいて来る。
「ん?見たところこの辺りの者ではないな…誰なのだ貴様は?」
「お、俺は…」
バンッー。扉が開く音がした。
「アラタ!何をしているんですかっ!!」
「んげっ、シルフまで来ちまった…」
「おお、どうもシルフ嬢。夜分遅くに騒ぎ立てて申し訳ない。この少年が魔物に襲われていたので助けていたのです。この少年とお知り合いで?」
「バードンさん!すいません、その方はアラタと言って私の知り合いなのです。助けて頂きありがとうございました。」
「いやいや、下級の魔物だったからな。シルフ嬢、この少年は何者ですか?」
「今日もう遅いですし、明日バードンさんの家にこのバカを連れて事情を話しに行きます。」
あれっ、今バカって言われたような…気のせい…だよな?
「わかりました。では、明日に。お休みなさい、いい夜を。」
「はい、お休みなさい」
バードンと呼ばれる男が去っていった。俺達も家に戻った。
「アラタ?」
すごく低い声だった。
「は、はいっ!」
「怒ってませんから、わかりやすく事情を説明してください?」
笑い顔を取り繕っていたが、とてもひきつっている。俺でもわかる。100%怒っている。
とにかく、俺は魔物に興味が湧き外に出たことなど、一部始終を話した。
「アラタ、私注意しましたよね?」
「えっと…その…」
「しましたよね?」
「はい…ごめんなさい…」
「はぁ…とりあえず、アラタが無事で良かったです。本当に…良かったです。」
キラッ…
ん?一瞬目元が光った気がしたが気のせいかな…
「先ほど言ったように明日バードンさんの家に行きます。今日はもう寝てください。」
「は、はい」
「お休みなさい、アラタ」
「お休みなさい、です。」
こうして、俺の命は繋ぎとめられたのだ。
「シルフ、泣いてたのかな…」
この事ばかり考えていたが疲れもたまっていたので、すぐ寝てしまった。