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不死鳥の剣  作者: TE☆TSU☆JI
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都のエレナ

 レン達がドラクーンの都ドラゴニアから川を下り一つ目の町に向かっている頃、ジャンパール皇国の都にある貴族や武家貴族の息女が通う皇立女学校の寮でエレナとコノハは、サイファから届いたレンの手紙を読んでいた。レンの手紙の冒頭には、必ず愛するエレナへと書かれてある。

 「お兄ちゃんの手紙にも書いてあったけどドラクーン人って面白そうね、私もカイエンとシーナってドラクーン人に会いたいな」

 と、コノハがエレナの膝枕でごろごろしながら言った。

 「そうね、とても面白い人みたいね、それよりマルス殿下に怪我を負わせたジルドってイビルニア人、相当強いのね」

 エレナは、レンがジルドの事を記した所を読んでゾッとした。

 「そうみたい、ヨーゼフさんに凄い剣技を教えてもらったから次は必ず殺してやるってお兄ちゃん書いてわ」

 「レンもヨーゼフさんに習ったって…気を練るってどうするんだろ?」

 と、レンが書いた練気のやり方を読みエレナとコノハはやってみた。目を閉じへその辺りに光の玉を想像していると眠気が襲って来て二人は、そのまましばらく寝てしまった。

 「ん…んん、や、やっぱり駄目ね、寝ちゃったわ、うふふふ」

 「んんん~~ん、これはきっと眠くなる技よ」

 と、二人は起きて笑った。寮の部屋は、基本四人で一部屋だがエレナの部屋は、二人部屋でコノハがいつ泊まりに来ても良いようにと学校側の配慮だった。コノハが居ない時は、一人で部屋を使っている。エレナは、皇帝や皇后の口利きで入ったため何かと優遇されている。当然、その事に不満を抱く生徒達も居る。

 「あっいけない、もうこんな時間だわ、私ちょっと買い物があるの、ちょっと行って来るね」

 と、エレナは言って、服を着替え始めた。下着姿のエレナをコノハは、うっとりと見つめている。

 「あぁ…お姉ちゃん身体ってホント綺麗…羨ましい」

 「えっ?な、何言ってるの、変な事言わないの」

 と、エレナは、急いで着替えた。以前、着替えている途中コノハに全身をまさぐられた事があった。

 「買い物ってどこに行くの?」

 と、コノハは、何となく聞いた。

 「せっかく都に住む事になったんですもの、少しくらいはお洒落にしないとね、服でも見に行こうかなって思ったの」

 「じゃあ私も行く」

 「ええぇ、そ、それは良いの?勝手に街に出歩いても大丈夫なの?」

 と、エレナは、コノハの身分を気にした。皇族の子女が勝手に街中を出歩くなどあってはならない事だろう。コノハは、得意顔で言った。

 「大丈夫よ、護衛の者は遠巻きに私達を見てるから、私が皇女って誰も気付かないわ」

 「…う~ん、後で怒られたりしない?」

 「大丈夫大丈夫」

 と、半ば強引にコノハは、エレナの買い物に付いて行った。コノハの護衛には、女性が二名男性が四名付き、遠巻きにエレナとコノハを警護している。街中を二人手を繋いで歩いている姿は、仲の良い姉妹の様に見える。コノハは、帽子を目深に被ってあまり顔が分からないようにしている。すれ違う人もまさかコノハ皇女とは思わない。

 「ここよ」

 と、エレナは、都に来てからずっと気になってた服屋に入った。エレナ好みの服が沢山あった。エレナは、好みの服を手にしては、鏡で自分に合わせたり、これはあなたが似合いそうとコノハに合わせてみたりした。コノハは、男兄妹で育っているためこう言った買い物は初めてだった。コノハには、とても新鮮な事でお姉ちゃんと慕っているエレナが自分のために服を合わせてくれている事に感動していた。そんな姿を護衛官の女性二人は、微笑ましく見ていた。

 「ほら、これなんかピッタリじゃない」

 「そう、私に似合ってる?」

 「ええ、着てみて」

 と、エレナはコノハに試着させた。

 「どう?」

 と、コノハが試着室から出て来た。エレナは、やっぱり似合うわと言い女性の護衛官二人も周りに気付かれないようにコノハに親指を立て似合ってると合図を送った。コノハは、嬉しそうに何度も鏡に自分の姿を映していた。エレナも欲しかった服を試着し納得して自分とコノハの服を買って店を出た。

 「お姉ちゃんが選んでくれた服、嬉しい」

 と、コノハは、服の入った袋を大事に持った。この後二人は、外でお茶を楽しめる喫茶店に入った。これは、警護の者がいつでも行動に出れる様にとエレナが配慮した。

 「次は私がお姉ちゃんにプレゼントするね」

 と、コノハが甘いお茶を飲みながら言った。

 「ホントに?ありがとう」

 と、エレナもお茶を飲みながら言った。服の事や飾り物の話しをしていると、二人連れの男に声を掛けられた。

 「いやぁ~君めっちゃ綺麗だよねぇ~」

 「どこから来たの?都の子かい」

 と、馴れ馴れしくエレナとコノハが座る席に座って来た。エレナは、困惑してコノハを見た。コノハも困惑していた。

 「俺らとどっか遊びに行かない?行こうぜ」

 「めっちゃ楽しいところ知ってるから」

 と、強引にエレナの手を引こうとした。護衛官達は、遠巻きにその様子を見ている。

 「ちょ、ちょっと困ります」

 と、エレナは言って手を引っ込めた。男二人は、慣れたもので今度は、エレナの肩を抱こうとした。

 「なぁ、俺、君に惚れちゃった」

 「触らないでっ!」

 と、エレナは、男の手を振り払った。手を振り払われた男はちょっとムッとした様子だったが気を取り直してまたエレナを口説こうとした。もう一人の男は、コノハを口説いていた。

 「君も可愛いなぁ~君達姉妹かい?」

 と、男は言ってコノハの手を握ろうとした。その手をコノハは、何のためらいもなく注文したケーキを食べるためのフォークで刺した。

 「気安く触るな」

 「いてぇ~、な、何てことしやがる」

 と、手を刺された男は、飛び下がって叫んだ。周りに居た客達が騒ぎ出した。逆上した男二人は、無理やりにでもエレナとコノハを連れて行こうしたその時、男二人は、護衛官達に取り押さえられた。

 「君達ちょっと向こうで話そうか」

 と、言って護衛官二人は、男二人を路地裏に連れて行った。喫茶店が急に静かになった。

 「ちょっと何、今の怖かったわぁ~」

 と、客を装っていた女性護衛官がわざとらしく言った。周りの客達も口々に先ほどの事を話し出し普段の喫茶店に様子が戻った。エレナは、ホッとして言った。

 「はぁ~怖かったぁ」

 「ふふふ、お姉ちゃんやっぱりどこにいても男に目を付けられるのね」

 と、コノハが悪戯っぽく笑って言った。先ほど男の手を刺したフォークを店員に交換してもらい届いたケーキを頬張った。ケーキを食べ終わった頃、路地裏から護衛官二人と真っ青な顔をした男二人が出て来るのが見えた。護衛官が行けっと言った仕草をすると男二人は、泣きそうな顔をしながら走ってどこかに行った。

 「あの二人凄い勢いで逃げて行ったけど何されたのかしら…」

 と、エレナがコノハに聞いた。

 「さぁ何されたのかしらね、気にしなくて良いよ」

 コノハは、意味ありげな顔をして言った。エレナは、知らない方が良いと思い深く聞こうとしなかった。そして二人は、帰る事にした。エレナは学校の寮に、コノハは城に帰って行った。

 「あぁ~あ、早くレン帰って来ないかなぁ…」

 と、エレナは、今日買った服をレンの目の前で着ている姿を想像しながら寮の部屋に戻って行った。

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