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不死鳥の剣  作者: TE☆TSU☆JI
154/206

カンドラ達への拷問

 ここは、トランサー王国にある唯一の刑場、その敷地内にある死刑囚を収監する施設では、カンドラの若衆だったポッツ・ビート、マイキー・バイツ、グアン・ナールがそれぞれ個室の檻の中で震えていた。カンドラの裁きから三日が経過していた。

 「ポッツ、グアン、聞こえるか?」

 「何だよあにぃ?」

 「聞こえてるぜ」

 と、マイキーの呼ぶ声にポッツとグアンが答えた。ちなみにマイキーは、この三人の中では最年長である。

 「親分達が連れて来られたの見たか?前より何か老けた感じがしたが」

 「うん、そんな感じだったな」

 「何があったんだろう?もう拷問始まってんのかな?」

 三人は、いつ拷問部屋へ連れて行かれるか分からない恐怖と不安で一杯だったが、収監されてから質素だが毎日三食与えられている事を不思議に思っていた。

 「ところでよぉ、何で死刑になる俺達に毎日まともな飯が出るんだろう?あの海軍の人達も姿を見せねぇし…どうなってんだ?」

 「あのカツって人と同じようにするため…」

 「言うなよっ!言わないでくれよ」

 と、ポッツが泣きそうな声で言った。マイキーとグアンもそれを考えると気が狂いそうになった。その頃、地下牢に入れられているカンドラ、チャーリー、コールは、呆然と時を過ごしていた。テランジン達が現れればそれが、自分達への拷問の合図である事だけ分かっている。この極悪人らは、過去にどんな拷問をして人を殺して来たか思い出していた。

 「テランの野郎、きっとあれをやるだろうな」

 「何だよあれって?」

 「覚えてねぇか?俺の食いもんに手ぇ出した馬鹿の背中に釣り針刺して吊ったの」

 「ああ、あれか…確かあの時ぁテランの奴もう島に居たな」

 と、三人は、当時の事を思い出した。釣り針を刺された男は、刺された傷が化膿して熱を出して死んだ。三人は、今頃になって過去を後悔し始めていた。


 トランサー城内の一室でレンは、テランジンから今日からカンドラ達の拷問を始めるとの報告を受けていた。拷問の内容は、あえて聞かなかったが、どの程度苦しめて殺すかだけを聞いた。

 「一週間は苦しめてやろうと考えています」

 「一週間…その間に死んでしまうんじゃないの?」

 「簡単には死なせませんよ、ドラクーン人に協力してもらいますので」

 レンには、直ぐに想像出来た。痛めつけては直ぐに怪我をドラクーン人に治療させ、また痛めつけるを繰り返すのだろうと。

 「カツにやった事はもちろん、あの野郎が島にいた時にやってた拷問もやってやろうと思ってます」

 と、ルークが憎らし気に言った。シンは、昨日から興奮してあまり眠れなかったのか目が血走っていた。

 「カツの恨みをやっと晴らせるんです、あの野郎共を徹底的に痛めつけてやります」

 と、シンが血走った目で言った。そんな様子をレンとヨーゼフは、心配した。カンドラ達と同じような事をして心を壊してしまうのではないかと思った。

 「お前達、今更こんな事を言うのも何だが無理をしておるのではないか?あのような連中と同じ事をすればお前達の心がおかしくなるぞ」

 「大丈夫です、おやじ、俺達はカンドラ達を同じ人とは思っておりません、あれは人の皮を被った悪魔です、同じ人なら心も痛みますが、あの連中に関しては何とも思いません」

 と、テランジンがヨーゼフに言った。

 「僕も行くよ」

 と、レンは、立ち上がりフウガ遺愛の斬鉄剣を引っ掴み言った。

 「なりませんぞ若、若は決してお手を出してはなりませぬ」

 と、ヨーゼフが慌ててレンを止めた。一国の主が拷問などに手を染めては、いけないと言った。テランジンも止めた。

 「君達だけにさせられないよ、少しくらいは僕も手を汚さないと」

 「いけねぇ、殿様、そいつは駄目ですぜ、こんな事俺達の仕事です」

 と、ルークが必死になって言った。シンは、カツの形見となった剣を握り締め「良かったなぁ良かったなぁカツ、俺達は最高の殿様にお仕え出来る事が出来た」と、泣きながら呟いている。

 「…分かったよ、でも最後にあの連中の顔だけは見ておきたい」

 と、レンが言ったのでテランジン、ルーク、シンは、レンを連れ、魔導車で先に城下にあるドラクーン大使館に寄り治療に長けたドラクーン人二人を迎え、カンドラ達が収監されている刑場近くの施設に向かった。施設に到着するとサイモン大将の部下が施設の門を開けてくれた。魔導車から出て来たレンを見てびっくりしていた。

 「レ、レオニール様、どうしてこのような所へ御身おんみけがれますぞ」

 「良いんだ、今日からテランジン達があの連中に拷問を加える、最後に連中の顔を見ておこうと思ってね」

 サイモン大将の部下に案内されレン達は、カンドラ達が入っている地下牢に通された。床に寝そべってごろごろしているカンドラ達が見えた。

 「おい」

 と、テランジンの声を聞いてカンドラ達は、一瞬ビクッとなったのをレンは、見逃さなかった。カンドラ達は、凍り付いた様に動かなくなりしばらくしてからゆっくりとレン達が居る方を見た。

 「と、とうとう来たな…ん?何だ男女も一緒か」

 「無礼者、控えろ!貴様ら如きのためにわざわざお越しになられたのだ、ありがたいと思え」

 「へん、何がありがたいだ畜生め、テランよ、これから死んで行く俺達にありがたいもクソもあるかよ」

 と、カンドラが悪態をつくとレンは、ゆっくりと牢の鉄格子にまで近付きカンドラ、チャーリー、コールの三人を交互に見つめた。

 「なぁ王子様よぉ、本当に本当に俺達にカツと同じ事をする気かい?じょ、冗談だろ?メタルニアであんたの噂を聞いたぜ、慈悲深ぇお優しい王子だって、だ、だからまさかあんな酷ぇ殺し方はしねぇよな?」

 と、チャーリーがすがる様な目でレンに言った。

 「その酷い殺し方をしたお前達に僕が情けをかけると思ってるのか?信じられない、僕が情けをかけるのは同じ人や動物だけだ、お前達の様な悪魔にかける情けは無い」

 と、レンは、冷たく言い放った。そう言われたチャーリーは、見る見る表情を変え散々悪態をついた。カッとなったレンは、監視役が持っていた長い棒を取るとチャーリーの腹に突き入れた。

 「黙れっ!」

 腹を棒で突かれたチャーリーが苦しそうにレンを睨み付けた。そこへテランジンの子分である海軍士官三人がやって来た。彼らは、昨日から刑場の施設で拷問の準備をしていた。

 「おかしら準備は整ってますぜ」

 「そうか、ではご苦労だがこのジジイ共を連れて行ってくれ」

 「へい」

 「おおおい、ちょ、ちょっと待てよ!おい、止めろ、放せ!放しやがれ!」

 と、屈強な海軍士官三人は、抵抗するカンドラ達を牢から出し拷問場へ連れて行った。牢内には、レン達だけが残った。

 「さぁ若、これから始めますのでどうかお城にお帰り下さい」

 「嫌だ、もう少し君達と一緒に居るよ、僕だって少しくらいはあいつらを痛めつけないと気が済まない」

 「…若」

 テランジン、ルーク、シンは、困った。これから行う拷問は、生易しいものではない。テランジン達も相当な覚悟で来たが、カツの事を思いレンの気が済むようにした。

 「おやじには絶対内緒ですよ」

 レン達が拷問場へ着くとカンドラ達の他にポッツ、マイキー、グアンが椅子に縛り付けられていた。彼らの後ろには、テランジンの兄弟分が付いている。これから拷問されると思い既に泣きじゃくっていた。

 「さぁカンドラ、これから貴様らの拷問を開始する、おい小僧共、今日は良く見ておけ」

 と、テランジンは、言って上着を一枚脱ぎ袖を捲り上げた。ルークとシンも同じように上着を一枚脱いだ。テランジンは、レンには聞こえないようにルークとシンに「今日は軽めで行く」とだけ言った。さすがにレンの前で過酷なものは見せられないと思ったからだ。

 「とうとうこの時がやって来た、カンドラ、チャーリー、コール覚悟は出来ているな?決して楽には殺さん、そのためにドラクーンのお方に協力してもらうのだ」

 と、テランジンは言いチラッと連れて来たドラクーン人二人を見た。カンドラ達には、その意味が良く分からなかった。

 「さてと…いきなりカツにやった事をするのも芸が無い、そこで貴様がデスプル島でよくやっていた事から始めるとする…色々思い出していたんだが…あっ!ちょっと若!」

 レンは、テランジンが話し切る前にいきなりカンドラ達を蹴りつけた。ルークとシンが慌てて止めようとしたが、テランジンが二人を止め様子を見る事にした。レンは、散々カンドラ達を蹴り回し、壁に掛けていた棍棒を取り殴り倒した。

 「はぁはぁはぁ…」

 「くっ…い、いてぇぇぇぇ…」

 「お、女みてぇな面してよくもここまで出来るもんだ、いたた」

 「いたたたた、やってくれたじゃねぇか」

 「このぉぉぉ!」

 と、レンが棍棒を振り上げた時、やっとテランジンが止めに入った。

 「若、もうお止め下さい、お手が汚れますので」

 「で、でも」

 「殿様、お願いです、この辺でお止め下さい」

 「殿様ぁ!」

 と、テランジン達に言われ振り上げた棍棒を降ろし床に落とした。それを素早くシンが拾った。レンに急激な罪悪感と嫌悪感が襲い涙が込み上げて来たが、グッと堪えカンドラ達を睨み付けた。

 「若がお城に戻られる、お送りしろ」

 と、テランジンが子分の海軍士官に言った。レンは、素直に従った。去り際にポッツ達を睨み付け拷問場を後にした。子分が運転する魔導車の中でレンは、涙を流した。そんな様子を子分は、心配した。

 「と、殿様、カツの兄貴もあの世できっと感謝してますよ」

 「そんな…僕は駄目だ、あれ以上の事は出来なかった、カツと同じ目に遭わせてやろうと思ったけど…僕にはあれ以上の事は…自分が情けないよ」

 「な、何を仰るんです、十分ですよ、あれから先の事は俺達の仕事ですから、俺達があの野郎共を徹底的に痛めつけてやりますんで」

 と、子分は、にこやかに言ったが、レンは、自分がやった以上の事をこれからテランジン達がやることを思うと心が痛んだ。カンドラ達に同情している訳ではない。テランジン達に嫌な役目を負わせている自分に腹が立った。

 レンが居なくなった拷問場では、予定通り容赦なくカンドラ達に拷問を加えていた。カンドラ達とポッツ達の悲鳴が拷問場に響いていた。丁度、ルークがチャーリーの右手人差し指を万力で締め上げていた。

 「ぎゃぁぁぁぁ、や、止めろ!そそそれ以上やったら骨が砕けちまうだろうが!」

 「そうだ、砕くんだよ!でも安心しろ直ぐにドラクーンの旦那方が治してくれるぜ、そらぁ」

 と、ルークが万力を一気に締め上げるとゴリゴリッと鈍い音がして骨が砕けたチャーリーは訳の分からない事を叫んでいた。その様子を見せつけられているポッツ達は、自分達も同じ事をされるかも知れないと思い恐怖でガタガタと震えていた。

 「どうだ?チャーリー貴様はよく万力を使って骨を砕いていたなぁ、カツの親指を潰したのは貴様だろう、ええ何とか言ってみろ?タキオン殿すまんがちょっと治療しやってくれ」

 と、テランジンにタキオンと呼ばれたドラクーン人がチャーリーの潰れた人差し指を治療した。見る見る元に戻って行くが痛みだけは残すよう前もって言われているので指の形だけが治るようにした。

 「はぁはぁはぁ…ゆ、指を潰したのは確かに俺だが、へへへ目の前のマイキーもやったんだぜ」

 と、チャーリーが名指しで言った。マイキーは、血走った目でテランジンを見て激しく首を横に振った。何か言おうとしているようだが恐怖で言葉が出ないのだろう。テランジンは、わざと冷たい目でマイキーを見た。

 「かかか勘弁して下さい、やらなきゃチャーリー兄貴に何をされるか分からなかったから」

 「ふっ、そうだな確かに何をされるか分かったもんじゃないな…だが、やった事には変わらん」

 そう言うとテランジンは、ゆっくりマイキーに近付いた。マイキーの心臓が早鐘の如く動いた。全身を強張らせ目をギュッと閉じた。しばらく間が空いて頭に二回ポンポンといった感覚だけが残った。何だろうとゆっくり目を開けるとチャーリーの目の前に立つテランジンの姿が見えた。両隣に同じように座らされているポッツとグアンを見ると訳が分からないといった顔をしていた。

 「何であいつらには何もしねぇんだ?不公平じゃねぇか!」

 と、コールが叫ぶように言うとシンが「黙れ!」とコールの腹に蹴りを入れた。そして、シンは、先が真っ赤に焼けた鉄棒をコールの背中に押し当てた。

 「ぎゃぁぁ!熱い!熱い熱い止めろぉぉぉぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 ジュウジュウと肉の焼ける音と臭いがした。

 「どうだぁ!ちったぁ思い知ったかケダモノめ!てめぇにやられた背中の火傷よりもっと酷い火傷を負わせてやる、そらよ!」

 と、シンは言い、また焼けた鉄棒を押し当てた。シンは、かつてデスプル島でコールからこの拷問を受けた事があった。弟分二人が責められているのを見てもカンドラは、顔色一つ変えなかった。むしろ拷問が始まってからの方が元気になっている様に見えた。根っからの異常者なのだろう。

 「さてとカンドラ次は貴様の番だぞ、何から始めようか?爪を剥ぐなど当たり前すぎて面白くないな…そうだあれをやろう、おい釣り針持って来い」

 と、テランジンが無表情で言った。カンドラ達は、やっぱりといった顔をした。テランジンの子分達が忙しく準備を始めている。ポッツ達は、何が始まるんだと固唾を飲んで見ている。準備が整いテランジンが大型魚を釣るための釣り針を一本手にして言った。

 「しかし、よくもまぁこんな事を思い付くよなぁ、島で貴様がこれをやっていなかったら思い付きもしなかった」

 そう言うとテランジンは、カンドラの肩辺りに釣り針を刺した。カンドラの顔が一瞬だけ歪んだ。テランジンが次から次へと釣り針を刺して行くのを見てポッツ達は、顔をそむけたが、後ろに居る兄弟分達に「しっかり見てろ」と言われ強引に見せられていた。この兄弟分達もカンドラ達の悪行の数々を見て来た者達であった。釣り針を全て刺し終えたテランジンは、釣り針に巻いてある糸を一本にまとめ滑車にかけ子分達を使い吊り上げた。

 「ぐおぉぉぉぉぉ、いいいてぇ、いてぇよぉ」

 カンドラ自身の体重が背中の皮に掛かり皮が伸びた。ルークとシンが、カンドラを揺さぶった。

 「ぎぃやぁぁぁぁ、ややや止め止め止めろ、クソッたれめ」

 ぶちっぶちっと皮が切れる音がした。見るに堪えないのかグアンが小便を漏らした。椅子から滴り落ちる小便を見てテランジンがフッと笑い言った。

 「心配するな、貴様らにこれをやろうとは思わん」

 ポッツ達は、ただただ震えて見ているだけだった。カンドラの顔色が悪くなって来たので降ろし釣り針を背中から引き千切るようにして取った。カンドラは、痛みに耐えているのか呻き声を上げた。ドラクーン人のタキオンが直ぐに治療に掛かった。見る見る皮が閉じ流れ出る血が止まった。

 「テ、テラン、こんな事いつまで続けるつもりだ?殺すんならさっさと殺せや」

 と、カンドラは、苦痛に耐えながら言うとテランジンは、鬼の様な形相でカンドラを殴り倒した。

 「言っただろう、十分に苦しめてやると今日はまだ序の口だ、貴様らが今までやって来た事をよく思い出すんだな、俺には聞こえる、島で貴様らに虫けらの様に殺された連中の声がな、テランジン、兄貴、もっと痛めつけてやれってな、今日はこのくらいにしてやるが本格的な地獄は明日からだ」

 テランジンは、拷問場にある檻の中にカンドラ達を入れ監視を付け、ポッツ達を元の牢に戻した。翌日もカンドラ達だけに拷問をした。ポッツ達は、ただ恐ろしい光景を見せつけられるだけだった。拷問を開始してから四日目、テランジン、ルーク、シンは、レンとヨーゼフにカンドラ達の様子を報告するため登城していた。レンとヨーゼフは、テランジン達の様子が少しおかしいと感じていた。

 「若、おやじ、今日はポッツ達に少し拷問を加えようと思います、あいつら自分達は助かると思っているようで、それじゃあ反省に繋がりませんからね」

 と、テランジンが暗い目をして言った。ルーク、シンも顔に例えようのないかげを感じる。

 「うむ、連中の処分は全てお前達に任せてあるから特に言う事もないが…大丈夫か?」

 「えっ?何がです?」

 「君達の事だよ、無理してるんじゃないか?」

 と、レンもヨーゼフも心配したが、テランジンは、明るく笑い飛ばし答えた。

 「大丈夫です、若、おやじ、我々も覚悟を持ってやってます、あと三日お待ち下さい」

 そう言ってテランジン達は、ドラクーン人二人を迎えに行き刑場へ向かって行った。レンとヨーゼフは、もう止めさせるべきか考えたが、結局テランジン達の気が済むようにさせる事にした。

 テランジン達が刑場の拷問場へ到着すると既にポッツ達が牢から引き出されカンドラ達の前に座らされていた。カンドラ、チャーリー、コールは、全身痣だらけで座らされている。その姿をポッツ達は、引き攣った顔で見ていた。勘の良いマイキーは、不思議に思っていた。いつも自分達の後ろに居るはずのテランジン達の兄弟分の海軍士官が今日に限ってカンドラ達の後ろに居る。そして、いつもカンドラ達を痛めつけているテランジンの子分が後ろに居るからである。

 「さてと今日は親分達はご見学だ」

 と、テランジンが腕組をして柱にもたれかかりポッツ達に言った。

 「お前ら自分達は助かるんじゃないかと思ってないか?」

 と、今度は、ルークが言うと最年少のグアンが少しだけ顔色を変えた瞬間、シンがグアンを蹴り倒した。

 「ぎゃぁぁ!」

 「ふん、やっぱりそう思ってやがったのか、誰が許してやると言った?今日はてめぇらの番だぜ」

 シンがそう言うと子分達がポッツ達を袋叩きにした。その様子をカンドラが大喜びで見ていると後ろに居る海軍士官が思い切りカンドラの頭を叩いた。

 「自分の子分があんな目に遭っているのに喜ぶな、変態ジジイめ!」

 ポッツ達が血を吐き動かなくなった所をタキオンとワイエット二人のドラクーン人が治療した。無論ある程度の痛みは残してある。

 「どうだ?カツは今の様に治療もされないまま貴様らに痛めつけられ多くの血を失い死んだ」

と、テランジンが厳しい顔をしてポッツ達に言った。

 「かか勘弁して下さい、もももう殺して下さい」

 「何?死にたいのか?そうかでは…と言いたい所だが甘いな、おい、やっとこあるか?」

 「へいお頭」

 と、子分がテランジンにやっとこを手渡した。ポッツ達は、何をされるのか直ぐに理解出来た。カツにやったように爪を剥がされ、親指を潰される。ポッツ達は、半狂乱になり抵抗したが、屈強な子分には敵わない。

 「おい、手ぇ出せ」

 と、テランジンがまずグアンの左手を強引に掴み手を広げさせた。ポッツとマイキーに見せつける様にしてグアンの爪を一枚剥がした。恐怖と痛みで泣き叫ぶグアンにお構いなしに次々と爪を剥がしていった。全て剥がした。爪が全て無くなった左手をグアンは、全身を震わせ見た。

 「どうだ、痛いだろう?」

 と、テランジンに言われグアンは、顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながら激しく頷いた。テランジンは、何も言わずグアンの頭を乱暴に撫でワイエットに治療してやってくれと言い、今度は、マイキーに近付き左手を出せと言った。マイキーは、血走った目で左手を隠し嫌だと首を振ったがテランジンの大きな手でビンタされ怯んだ所を素早く引っ掴まれた。

 「いい嫌だ、止めて、止めて、止めて下さい」

 「んん?駄目だ、貴様はカツの親指を潰そうとしたんだったな、まぁ最終的にはチャーリーが潰したが」

 テランジンは、そう言うとマイキーの左手の親指をやっとこで掴み握った。

 「いい痛い、痛い、あぁぁぁぁぎゃぁぁ」

 ミシッと骨が鳴った。おそらく折れたかひびが入ったのだろう。親指が見る見る赤紫色に腫れ上がった。

 「貴様はこれくらいにしてやろう」

 タキオンがマイキーの親指を痛みだけが残るよう治療した。最後に残ったポッツは、次は自分の番だと震えている。テランジンは、やっとこを子分に渡しポッツの前に立った。

 



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