盗賊退治
屋敷に到着したレン達をステアゴールドとアン、そしてステアゴールド家に仕える者達が笑顔で迎えた。この歓迎は、予想外だったのでレン達は、大いに困惑した。
「意外ですな若、今宵は敵陣に乗り込むつもりで来ましたが、こうも歓迎されるとは」
と、ヨーゼフがレンの耳元で小声で言った。
「う、うん、僕も意外だよ、何か企んでるのかな?」
と、レンもヨーゼフに小声で答えた。カツとシンは、絶対何か裏があるんじゃないかと警戒した。
「ようこそわが家へ、さあさあ王子、ヨーゼフ公もカツ殿シン殿もこちらへこちらへ」
と、ステアゴールド自らレン達を屋敷の応接間に通した。レン達が着座するとアン自らがレン達に出すお茶を持って現れた。これには、大いに驚いた。いつも高飛車で傲慢で他人のために何かするとは考えられないアンが自らお茶を振る舞いに来たのだ。レン達は、ますます不安になった。
その頃、ジャンパール城内の皇帝達の私室でマルスは、父イザヤ皇帝に何故レン達をステアゴールドが自分の屋敷に招待したのか尋ねていた。
「ふむステアゴールドの奴、サモン家相続の件でレオニール達とは険悪だったからなぁお前が継ぐ事になり気が済んだんだろうな、ステアゴールド家は名門貴族だ、奴にすればその誇りもある、一国の王子であるレオニールを自らの手で養育出来なかった悔しさもあったのだろう、此度はその穴埋めをしたかったのではないのかな、他の貴族達に自慢したいのだろう当家はトランサー王子を招待出来るほどの家格であるとな」
と、イザヤが訳知り顔で言った。
「何だよそれ、んじゃあレン達はただの自慢の種かよ、くだらねぇ」
と、マルスは、呆れて言ったが隣に居たコノハが心配そうな顔をしていた。
「カツさんとシンさん大丈夫かなぁ?義姉さんに失礼な事言われたりしないかな」
「もし、あの二人に無礼な物言いをしたと分かれば今度こそ私が仕置きします、良いですねアルス」
と、コノハの後に母のナミ皇后が厳しく言った。アンの夫であるアルス皇太子は、緊張した顔をして頷いた。
この日の夜、占い師に身を変えた祈祷師タリスは、店を閉め呆然としていた。
「どうしたんだ?いつものように稼ぎを数えないのか?」
と、同じ半イビルニア人の盗賊ゼフトがタリスの様子がおかしい事に気付き言った。タリスは、返事もせずただ自分の両手を見つめていた。
「だからどうしたんだ?今日はステアゴールドの屋敷に押し入る日だぞ、俺達が盗んで来る物が楽しみじゃないのか?」
「えっ?ああ、楽しみだな上手くやって来いよ」
と、タリスは、簡単に答えただけでまた両手を見つめた。ゼフトは、おかしいと思いつつ店の奥へと引っ込んで行った。
「はぁ~俺はどうしたと言うのだ?昼間来たあの娘の事が頭から離れない…こんな事は初めてだ…あの娘にもう一度だけでも逢いたい」
その頃、ステアゴールドの屋敷の応接間から食堂へと案内されたレン達は、豪華な料理に舌鼓を打っていた。
「へぶしっ…し、失礼、誰か僕の噂でもしてるのかな?」
と、レンは、くしゃみを放ち呟いた。
「ほほほ、王子はマルス殿下と同じく世界の英雄に数えられておりますからなぁ噂は日々絶えんでしょうなぁ」
と、ステアゴールドがにこやかに言った。レン達は、いつステアゴールド父娘が難癖を付けて来るか待ち構えていたが、先ほどから嫌味を言うどころか褒め称えて来る一方だった。それが返って不気味に思えた。例えばアンが海賊上がりと蔑んでいたカツとシンの話しを目を輝かせて聞いていたし、ステアゴールドに至っては「海賊は海軍の手習いだ」と褒めカツとシンに自ら酒を注いでいた。
「レオニール王子、サモン家の事で随分と気を悪くさせ本当に申し訳ありませぬ、私はフウガ殿に嫉妬しておりました、死してなおもフウガ殿を偲び慕う者達が多く…フウガ殿の人徳でありましょう、そして此度のサモン家相続の一件、嫉妬の塊だった私は何とか相続を邪魔してやろうと日々思っておりました、誠に恥ずかしい限りです」
と、ステアゴールドは、酒が進むにつれ、しみったれた事を言い出した。今宵のステアゴールドは、どうやら泣き上戸のようであった。この男の酒癖は、良く分からない。そんな父をアンは、心配そうに見つめていた。
「今も良く覚えてございます、フウガ殿に連れられてお上にお会いになられる王子を…この世にこんなに美しい男の子が居たのかと…」
ステアゴールドは、初めてレンを見た時、周囲の者に「あの子は絶対に武家貴族の子なんかじゃない」と言っていたと言う。髪の色がジャンパール人とは違いレンは、赤毛である。その事を調べると母親が異人だと分かり少々残念に思った。その点は、純血にこだわるステアゴールドであった。しかし、誰かに似ているとも思っていた。
「王子が長ずるにつれそれが誰か分かりました、あなた様の母君、ヒミカ皇女に…こんな偶然もあるものかと思いましたよ」
と、言いステアゴールドは、溢れ出た涙を拭った。ここで亡き母ヒミカの話しが出て来るとは思っていなかったレンは、気になり母を良く知っているのかと聞いてみると、ステアゴールドは、更に泣き出し話した。
「ううう、はい、良く知っていますとも…ぐすっ…私やフウガ殿は、ヒミカ様が幼い頃の教育係でした、お転婆でいつも悪戯されておりました、当時若かった私は何という姫君かと眉をひそめておりましたがフウガ殿は次はどんな悪戯を仕掛けて来るのかと楽しんでおられました…そして我々教育係が去り際には必ずこう申されておりました、フウガはいつ来るのじゃと」
ステアゴールドの話しを聞いてレンは、嬉しくなった。自分が尊敬し愛するフウガが母ヒミカにも愛されていたと知り胸が一杯になり思わず泣きそうになった。
「あの、もっと母の話しをお聞かせ下さい、母がトランサーに来た頃の話しはヨーゼフから聞いてますがジャンパール時代の事を知らないんです」
と、レンは、目を輝かせてステアゴールドに言った。ステアゴールドは、うんうん頷き話してくれた。ある時、ヒミカの供としてフウガと郊外にある皇族や皇族関係者しか入れない公園に出かけた。ステアゴールドは、ヒミカに仕掛けられた悪戯で死にそうな目に遭った。実際死ぬほどではなかったが、当時のステアゴールドにはそう感じた。
「ヒミカ様が私の絵を描くから崖の端っこに立てと申されて言われた通りにすると崖が崩れ落ちましてな小さな谷ですが一人では到底登れず落ちた衝撃で全身が痛み身体も思う様に動かず、そんな私を見たフウガ殿がゲラゲラ笑いながら助けてくれましたが…ヒミカ様はそこの崖が崩れやすい事を知っておられたそうで…はは、今となっては懐かしい思い出です」
他にも色々と悪戯をされ酷い目に遭ったと話した。レンの傍で話しを聞いていたヨーゼフは、ヒミカが子供の頃そんなにお転婆だったとは、知らなかったので大いに驚いていた。
「拙者が知るヒミカ様とは随分違いますなぁトランサーに輿入れされた時のヒミカ様は大人しい姫君でしたのに…あっ!?思い出した、ヒミカ様が輿入れして間もない頃、実に嫌味な貴族がおりましてな、そやつがレオン様ヒミカ様に嫌味を言い下城しようとした際、ヒミカ様がこっそりと二階の窓からそやつに冷や水を浴びせておりましたな」
と、ヨーゼフは、言い冷や水を浴びせられた貴族の慌てっぷりを思い出してクスクス笑い出した。レンは、母ヒミカの意外な一面を知れて嬉しかった。この日、珍しくレンは、酒をよく飲んだ。杯が空になると直ぐに給仕の者が酒を注ぐが、給仕の者がカツの杯に酒を注いでいたため、アンがレンの杯に酒を注いでくれた。
「あっ!ありがとうございます…ん、アン殿今日は黒い指輪はされていないんですね」
と、レンは、気になって言った。酒を注ぎ終わったアンは、着席して真顔で答えた。
「先日から急にあの指輪が重く感じ気分が悪くなり外しましたの、ねぇお父様」
「そうなんですよ、私も数珠をしておりましたが娘と同じく急に気分がすぐれず数珠がやたらと重く感じましてな外しました」
と、ステアゴールドも答えた。レン、ヨーゼフ、カツ、シンは、顔を見合わせ頷いた。そんな様子をステアゴールド父娘は、不思議そうに見た。レンは、ステアゴールドに指輪と数珠を見せて欲しいと頼んだ。ステアゴールドは、執事に指輪と数珠を持って来させレン達に見せた。
「やっぱり、間違いないイビルニアの物だ、外して良かったですね、これはあなた方を破滅に追い込む物です」
「な、なんですと?イビルニア?破滅?」
「左様、この数珠と指輪はイビルニア半島で作られた物でこんな物を持っているとお家が潰れますぞ、ましてや身に付けておれば災いが起こるでしょう」
ステアゴールド父娘は、信じられないといった顔をした。レンは、アルスから指輪と数珠の事を聞いたと父娘に話した。そして、祈祷師タリスは、間違いなく半イビルニア人であると言った時、父娘の顔から血の気が引いていた。
「で、では私の病を祈祷で治したと言うのは…」
「おそらく貴殿に前もって毒でも飲ませたのでしょうな、考えられるのはこの屋敷の使用人達の誰かがタリスと通じており、その者が貴殿の食事に毒を盛ったとか」
と、ヨーゼフが真剣な顔で言うとステアゴールドは、首を激しく横に振り言った。
「有り得ない、有り得ませんぞヨーゼフ公、当家の者に限って…」
「しかし、タリスは病で苦しむあなたの前に突然やって来たのでしょう?そして医者もさじを投げた病を一回の祈祷で治してしまった、やっぱりおかしいですよ、祈祷をする前に何か飲んだり食べたりしませんでしたか?」
「ははぁそう言えばタリスは祈祷を行う前にこれはありがたい霊水である、祈祷の効果を高めるにはこの霊水を体内に入れ体内を浄化する事で祈祷の効果が高まるからと私に飲ませました」
レン達は、顔を見合わせ頷き合った。
「その水は解毒剤ですよ、先に解毒剤を飲ませた上で祈祷をして治した様に見せかけたんです」
「しかし、毒なら私が毒に侵されていると医者が見抜いたはずでは…」
「あやつらが作る毒は一般の医者には分からぬでしょう、かつて拙者とレオニール様は半イビルニア人の作った毒を盛られ死にそうになった事がござった、あの時はドラクーンの娘シーナが傍に居り助かりましたがの」
と、ヨーゼフは、二年前にトランサー国内で起きた反乱の一件を話した。ステアゴールドは、顔を真っ青にして聞いていた。そして、ステアゴールドが一番信頼している執事を呼び、使用人達の中に怪しい者が居ないか調べさせた。執事が調べたところハンネと言う冴えない中年の男が五日ほど前に暇乞いをして屋敷を出たと言う。
「ああ、あの男か…去年だったか新規で雇った使用人だったな、忘れていたな」
と、いった具合でステアゴールド自身余り覚えていないほど影の薄い使用人だった。実際にハンネと言う男が毒を盛ったのか分からないが、怪しいと言えば怪しい。五日前と言えばステアゴールド父娘が指輪と数珠を大事にしていた時であり、一番魔力が効いていた頃だろう。
「その男がどこに行ったか分かりますか?」
と、レンは、執事に尋ねたが、分からないと答えた。和やかだった雰囲気が一変してお通夜の様になった。レンは、指輪と数珠が入った小箱を執事に渡し金庫に保管するよう言った。処分は、後日する事にした。そして、食事も喉を通りそうにないのでステアゴールド父娘は、レン達を大広間へ案内しそこで飲み直す事にした。
「はぁ~僕こんなにお酒を飲んだのは初めてですよ、これ以上飲んだら危ない気がします」
と、レンは、酔いが回っているのか椅子に座っていても身体がフラフラした。ヨーゼフ、カツ、シンは、これ以上レンに酒を飲ませてはいけないとステアゴールドに言った。
「ふむ、そ、そうですな…王子は…王子はかなり酔っておられる、そろそろお開きにしましょう、私もふふふ、いささか飲み過ぎました」
そう言うとステアゴールドは、使用人達を呼びレン達を泊める部屋に案内させた。一人一部屋ずつ用意されていた。カツとシンは、レンやヨーゼフ、ステアゴールド以上に酒を飲んでいたが元海賊だけあって強い。
「う~ん…もう飲めないよ…」
と、レンが半分意識を失くしながら呟いた。その様子を見てカツとシンは、レンが心配だから付き添うとヨーゼフに言いレンを連れて同じ部屋に入って行った。
「ふぅむ、わしも少々飲み過ぎたかな」
そう言ってヨーゼフは、用意された部屋に行き眠りについた。カツとシンは、レンをベッドに寝かしつけ様子を伺った。
「しっかし、こうして殿様のお顔を見ると女みてぇだなぁ」
「確かにお綺麗なお顔をしていなさるぜ、さぁ俺達も寝ようか」
と、カツとシンがそれぞれソファーや椅子に腰を下ろした頃、ステアゴールド邸の近くに半イビルニア人ゼフト率いる盗賊団が音も無く現れていた。
「やっと、部屋の明かりが消えたぜ、あと小一時間もすれば大丈夫だろう」
と、ゼフト達盗賊団は、上手く物陰に潜み時が来るのを待った。これより少し前に、占い師の店から十人ほど黒装束の団体が貴族達が住む町の方へ向かったとマルスの耳に報告があった。
「そうか、とうとうこの都で仕事を始める気だな」
「はい、人数を揃えて後を追わせてあります」
「うん、ああそうだ、もしステアゴールドの屋敷に入ったのならほっとけ、今日は中にレン達が居るから返り討ちに遭うだけだ、他の屋敷に入ったら頼んだぜ」
レン達が寝静まってから小一時間が経ちゼフト達は動きを見せた。まず、元ステアゴールド家使用人ハンネから受け取っていた鍵型から作った合鍵を使い裏口の扉を開けた。音も無くゼフト達が庭に侵入した。ゼフトは、ハンネから聞き出していた部屋の間取りを描いた絵図面を広げ手下に指示を出した。
「お前達はここから忍び込んで大広間を見ろ、お前達は途中で地下室に行き何かあったら持って来い、そしてお前達は俺と一緒だ二階に行く」
「お頭、気付かれて騒がれたら?」
「フッ、いつも通り殺せ」
「合点だ」
「良し行くぞっ」
と、ゼフト達盗賊団は、屋敷にレン達が居る事に全く気付く事もなく侵入を開始した。その頃には、既にカツとシンが異変に気付いている。
「おい、兄弟、何か変なのが来たんじゃねぇのか?」
「気付いてたか、俺も感じた、連中の気だな」
その時、スッと部屋の扉が開きヨーゼフが入って来た。
「お主らも気付いていたか、レオニール様は?」
「へい旦那、奴らの気を感じました、殿様は…」
レンは、ぐうぐう寝息を立てている。ごにょごにょと寝言まで言っていた。
「まぁ盗賊如きで若のお手を煩わせる事もあるまい、わしらで片付けるぞ良いな」
「へい、合点です」
そうってヨーゼフ達は、部屋を静かに出た。廊下の奥は、ステアゴールドの私室とアンの私室があり彼らは、そこで寝ている。そちらには絶対に行かせてはならないとヨーゼフ達は、ステアゴールド父娘の部屋に背を向けゆっくりと歩いた。階段近くまで行くと微かだが物音が聞こえ、それと同時に例の妙な嫌悪感を感じた。間違いなく半イビルニア人の気配であった。この間、ステアゴールド家の者達は一切気付いていない。ヨーゼフ達は、静かに剣を抜き音を立てずに歩いた。そして、階段でゼフトと他四人の盗賊に出来わした。
「うおうっ!だ、誰だてめぇら!何で気付きやがった!」
ゼフト達は、跳び下がって短剣を抜き構えた。異常に気付いた他の盗賊達も階段下に集まって来た。
「貴様らか?地方を荒らしまくっておると言う盗賊共は?」
「へっ残念だったな、逃がしゃしねぇ観念しな」
カツとシンが階段から一気に飛び降りゼフトの両側に居た盗賊が持つ短剣を剣で叩き落すと思い切り蹴り飛ばした。乱闘になった。ステアゴールド家の者達が乱闘に気付き悲鳴を上げた。ステアゴールド父娘も騒ぎに気付き何事かと部屋から出て来てヨーゼフ達が戦っている姿を見て腰を抜かさんばかりに驚いた。
「ど、どういう事だこれは?一体何事だ?!」
「お、お父様」
と、アンは、父の腕にしがみ付いた。ゼフトは、ステアゴールドに気付くと階段を飛ぶように駆け上がり襲い掛かった。
「王手にはまだ早いわっ!」
と、ヨーゼフが絶妙な力加減で真空突きを放ちゼフトを吹っ飛ばした。ゼフトは、壁に激突し倒れたが直ぐに起き上がりまた襲い掛かろうとした時、レンが部屋から飛び出てゼフトに体当たりした。
「こ、この野郎!」
と、レンは、ゼフトをニ三発殴りつけ取り押さえた。他の盗賊達もヨーゼフやカツ、シンに死なない程度に斬られて動けなくなっていた。
「これで全員か?答えよ!」
と、大広間に集められたゼフト達盗賊団にヨーゼフが訊問した。ゼフトは、観念したのか「そうだ」と答えると後は、何を聞いても答えなかった。使用人が役人に連絡すると直ぐに現れた事に驚いた。
「マルス大公からレオニール様達がお屋敷におられるので手出しは無用だと言われて」
「なんじゃ、マルス殿下も人が悪いのう、まあ誰も怪我人が出ておらんから良かった、さぁこやつらを連れて行って下され」
と、ヨーゼフが呆れて言った。レンが気分が悪そうにしている事に気付いたカツがそっとレンをお手洗いに連れて行った。シンがステアゴールドに盗賊団の事を話すと呆然とした。まさか自分の屋敷が狙われていたとは、考えもしなかったのだろう。
「と、盗賊共の頭が半イビルニア人だったとは…まさかタリスと何か関係があるのでしょうか?」
「分かりませんな、後は軍部で取り調べられるでしょう」
夜が明け、レン達は、アンと一緒に城に戻る事にした。レンは、魔導車の中で二日酔いと戦っていた。城に到着すると直ぐにマルスが駆け寄って来た。
「ご苦労だったな、今軍部で連中の取り調べが始まってるとよ、ん?レンどうしたんだ?顔色が悪いぞ」
「ははぁ兄ぃ、殿様昨日ステアゴールドの旦那にかなり飲まされちまって」
「何だ、二日酔いか、あははは俺の部屋で寝てろ、それとも迎え酒でもするか?」
と、マルスは、笑いながら言ったがレンは、頭が痛いのかゆっくりと首を横に振り「寝る」とだけ言った。




